上越市で初の冬季の原子力防災訓練 地震による雪崩など複合災害想定し自衛隊が道路除雪

東京電力柏崎刈羽原子力発電所で冬季に地震が発生した場合の複合災害を想定した新潟県の原子力防災訓練が2025年1月24、25の両日、行われた。原発から半径5〜30km圏内の避難準備区域(UPZ)の山間地にある上越市大島区田麦では25日、地震で雪崩が発生し避難道路が通行止めになったと想定し、陸上自衛隊による道路除雪訓練が行われた。同市で冬季の原子力防災訓練が行われたのは初めて。

県の除雪車を使って道路除雪訓練をする自衛隊員

県はこれまで冬季の防災訓練は柏崎市など地域を限定して行っており、複合災害を想定し、冬季に初めて大規模な訓練を実施した。訓練は大雪で県内各地に積雪がある中、柏崎市や刈羽村などで震度6強の地震が発生し、運転中だった柏崎刈羽原発7号機の冷却機能が一時失われ放射性物質が放出されたほか、地震による雪崩や液状化で住民の避難道路が寸断しているという想定で行われた。

住民らと除雪訓練を見学する花角英世知事(右)、中川幹太市長(左から2人目)

上越市大島区は旭地区の4町内(板山、田麦、竹平、藤尾)が避難準備区域(UPZ)にあり、訓練が行われた田麦の24日時点の積雪は185cm。避難道路の県道には、雪崩で崩れた雪に見立てた雪の塊が約50mにわたって積まれ、陸自高田駐屯地の隊員が県の除雪車を使って約30分かけて除雪し、避難経路を確保した。

除雪訓練の様子は、花角英世知事と中川幹太市長、田麦町内の住民約20人や関係者らが見学した。旭地区協議会の山岸久雄会長(77)は「今日は天気が良かったが、天候が悪い時はうまくいくかどうか。訓練は初めてだったので他の地域にも参考になることがあると思う」と話していた。

自衛隊による除雪訓練を見学する住民や関係者

中川市長は「除雪作業はスムーズで地形に慣れていなくても十分な作業できると実感した。ただ実際の災害ではどれぐらいの範囲や作業量となるか。訓練は繰り返し行わなければならない」と述べた。同駐屯地の萩森泰聡司令は「民間の機材を使用したが、スムーズにできた。実際の道路でガードレールがあったり、山の斜面から雪が流れてくる可能性があったりという、様々な状況に応じた訓練によって災害対処能力が向上していく」と話した。

記事参照元:上越タウンジャーナル