曽我さん 母がくれた腕時計を希望に 佐渡から上越の児童へリモート講演

新潟県佐渡市の拉致被害者曽我ひとみさん(62)が、北朝鮮から佐渡に戻って19年となった17日、上越市の上越教育大付属小学校5、6年生らにオンラインで講演した。「家族がばらばらになり、知らない国で一人ぼっちで生きていかなければならなかった。これは現実に起きたことだ」と子どもたちに語り掛けた。

 曽我さんは2002年10月17日、佐渡に戻った。講演では「拉致から43年過ぎたが、いまだ解決とはほど遠い状況に怒りを感じる」とし、拉致された時の状況を語った。帰国を諦めかけたこともあったが、「母から買ってもらった腕時計が、その気持ちを打ち消してくれた」とし、その時計を見せた。「家族と自由がある幸せな状況だと分かってほしい」と訴えた。

北朝鮮での生活については、娘たちの運動会でのエピソードを紹介。外出制限で見に行くことができなかった曽我さん夫妻の代わりに、娘たちを昼食に誘い、ごちそうを分けてくれた家族がいたことに触れ、「全ての北朝鮮の人が悪いと思わないでほしい」と話した。

講演を聞いた6年の児童(11)は「お母さんと長い間離れ離れになってしまって、とてもつらいだろうなと感じた。早く会える日が来てほしい」と話した。

曽我さんは講演後、報道陣の質問に答えた。19年前の帰郷当時を振り返り「佐渡にいると思っていた母がいなくて、とても寂しい思いをした。私が代われるものなら代わってあげたい」と、いまだ帰還がかなわない母ミヨシさん=失踪当時(46)=への思いを募らせた。

記事参照元:新潟日報

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