「また食べたくなるラーメン」震災乗り越えライダーの聖地が期間限定でオープン

能登半島地震で被災した上越市のラーメン店がゴールデンウィーク中、期間限定で営業を再開しました。店のご主人は一時、廃業も考えていたということですが、久々の賑わいを目にして心境に変化があったようです。

上越市直江津の老舗ラーメン店「ニューハルピン」。2日、店先には開店前から行列ができていました。
■上越市民
「(Q.よく食べに来る?)そうですね。しょっちゅう。」
■群馬県から
「いつも来ている。1回食べるとまた食べたくなる。あと引く味。」

店主の笠原さんがバイク好きなこともあり、全国のバイク愛好家から聖地として親しまれてきたニューハルピン。しかし、店は元日の能登半島地震で大きな被害を受けました。建物が傾き、床や壁に亀裂が生じたほか、水道管も破損しました。
■ニューハルピン 笠原直之店主
「(水道の元栓を指して)この隙間から(水が)どーっと出てきてしまう。業者は『直すレベルではなくて解体しかないね』という判断。」

被災前から物価高騰の影響で、苦しい経営が続いていた店に大きな打撃となりました。
■ニューハルピン 笠原直之店主
「果たしてお金をかけて直して続けていけるのだろうか…。」

この4カ月間、店を開くことが出来ず、麺とスープを冷凍したセットをオンラインや店頭で販売して生活してきました。先が見通せない苦境が続く中、笠原さんは連休中だけでも店を開こうと決断します。
■ニューハルピン 笠原直之店主
「オンラインショップだけでやっていくのは限界。設備は自分で直せるところは直してなんとかゴールデンウィークは営業しよう。」

笠原さんは自ら、壊れた厨房設備を可能な範囲で修理。安全にお客さんを迎えられるよう応急処置を講じてなんとか、営業できる状態を回復しました。

期間限定ではあるものの〝ニューハルピン〟の味が帰って来ました。あっという間に席を埋めた常連客の手もとに、ラーメンが運ばれます。

■福岡県から
「私の実家は上越市だが福岡に住んでいる。帰省で。(休業を)残念に思っていたが、冷凍ラーメンを一度いただいた。応援できたらと思っていた。(Q.味は改めてどう?)美味しい。変わらず美味しい。」
■市内から
「よく来ていた。だけど地震で…。なので仕事中だが抜け出してきた。(Q.放送は大丈夫ですか?)自営業なので大丈夫。」
■富山県から
「地震前は1ヶ月に1回くらい来ていた。(Q.5月9日はバイク?)5月9日は電車。バイクが調子悪くて。(Q.営業再開してほしい?)ぜひぜひ。(再開)してほしい。はやくしてほしい。」

気がつけば、店先にはバイクもズラリ!待ち焦がれたライダーたちの胃袋を満たします。
■奈良県から
「今朝名古屋を出て、まぁブラブラと走って先ほど店に着いた。(Q.なぜ新潟まで来て食べに来ようと思った?)それはこのライド仲間が結構評判良くてみんなが勧めていて私ひとりだけ食べていなかった。これは1度死ぬまでに食さなアカンなと。やっぱり(店は)伝説ですから。」
■神奈川県からグループで
「これから渋峠へ向かう。横手山。あとは草津へ行って中央道で帰る。」

久々の味に笑顔で舌鼓を打つお客さんを前にして、廃業も考えていた笠原さんの胸中に確かな変化がありました。
■ニューハルピン 笠原直之店主
「またここにお客さんを呼んで食べてもらう。(店を)開けて良かったと思う。」

この日は約150食のラーメンを提供。被災前の10倍以上もの売れ行きです。
■ニューハルピン 笠原直之店主
「カウンターにいるお客さんに出来上がったラーメンを出すとニコッといい顔をする。食べ始めたら一口目で『おいしい』と言ってくれる方が多い。そういう客を見てるとやってて良かったと思う。」

店は連休明けから再び休業へ。今後、本格的に改修する予定です。慣れ親しんだ建物はできるだけ残す方針ですが、被害が大きい部分は解体する覚悟も決めました。

■ニューハルピン 笠原直之店主
「安心して営業できるまでには時間とお金がかかりすぎる。なんとか営業しながら少しずつ進めていく。今のところは。」

お店の改修は順調で、11日(土)~13日(月)にかけても午前11時~午後2時の3時間だけ営業するメドがつきました。
地震を乗り越えて店を続ける決意をした笠原さん。ライダーたちの姿がニューハルピンに戻る日を夢見て、再建を目指します。

2024年5月9日放送時点の情報です