マッコウクジラの骨漂着 柿崎区の海岸 県内初の事例 下顎の長さ4・29メートル 専門家が調査

下顎の骨の長さを計測。並んでいる穴は歯が生えていた歯槽

柿崎区の海岸に、マッコウクジラの骨が漂着した。県内でマッコウクジラが漂着するのは初の事例で、6日に専門家による調査が行われた。

漂着した骨は右の下顎、左の上顎、後頭骨、胸骨、肋骨(ろっこつ)の5個で、柿崎中央海水浴場周辺の約2キロにわたり漂着。2月1日に市民から県上越地域振興局に最初の発見報告があり、解剖学が専門で県立看護大名誉教授の関谷伸一さん(74、上越市石橋)が同振興局からの連絡を受けて調査を進めてきた。同月10日までに5個の骨が見つかり、同海水浴場に集められた。柏崎市の米山海岸でも骨や筋肉とみられる組織が漂着しており、同一個体の可能性がある。

6日に行われた調査では、国立科学博物館動物研究部(茨城県つくば市)の田島木綿子博士(53)らが現地を訪れ、部位ごとの計測を行った。このうち下顎の長さは4・29メートル。後頭骨は幅1・96メートル、高さ約1・6メートルあった。計測結果は今後、個体の全長を推測するのに役立てられるという。

マッコウクジラは成長した雄で15~18メートル。田島博士によると、日本海にも生息しているが、本州日本海側に漂着するのは極めて珍しいという。今回は白骨化しており、重い骨だけが漂着するのは太平洋側を含めても珍しい。

骨の引き取り手は決まっていないが、調査の中では上越科学館で展示してはどうかといった案も上がった。田島博士は「地元の子どもたちの学習に役立つことがたくさんある」と話した。関谷さんは「柿崎でクジラと聞き、真っ先に上下浜小のクジラ学校を思い出した。実物を見ると(図鑑などとは)違う。学びに役立ててほしい」と語った。

記事参照元:上越タイムス電子版