〈じょうえつレポート〉中川幹太上越市長 新市政の方向性に注目 就任後初の市議会 政策公約めぐり論戦 独自色へ試金石

11月9日の中川幹太上越市長就任から、1カ月余りが過ぎた。就任後初の市議会定例会となった12月定例会(11月30日~12月17日)では、議員との間で白熱した論戦が交わされた。政策公約に関する質疑応答などから、中川市政の方向性が浮かび上がってきた。(山口達也記者)

行財政改革

 村山秀幸前市長が最も力を入れてきた行財政改革について、中川市長は「引き続き取り組んでいかなければならない」との認識を示した。現行の第6次行政改革推進計画(平成31年度~令和4年度)は「効率的な行政運営に資する計画で、第6次総合計画を下支えするもの。このまま継続する」としている。

 市の最上位計画である第6次総合計画(平成27年度~令和4年度)についても、「私が公約で掲げた各種政策で、現在の総合計画の内容と大きく異なるものはない。計画の見直しは考えていない」と継続の姿勢だ。

 総合計画と期間を同じくする第2次財政計画も改定せず、「現在進めている令和4年度当初予算編成の中で、私の公約を盛り込んでいく。令和5年度以降の対応となる施策は、次期財政計画に反映させたい」としている。

人事改革

 一方、副市長4人体制と政策諮問委員の提案は否決され、肝入りの改革に〝待った〟がかかった形。令和5年度からの導入を目指して再出発するとし、「今後は私の直轄として始動させる人事改革プロジェクトの中で、行政職員の在り方をはじめ人事や異動の期間、職員研修に至るまで、職員の意見を聞き、議論しながら丁寧に検討を進める」と前を向く。

地域分権

 また、公約の柱の一つに掲げる「地域分権」には、来年度から本格的に着手する方針。「地域住民の生活の質を高めること、活力向上に主眼を置く」と言い、「地域自治区の単位やエリア設定などを行い、必要な権限の付与や強化を図っていきたい。令和4年度にしっかりと制度設計、合意形成を図り、令和5年度の予算編成から段階的に取り組みたい」と意気込む。

通年観光

 歴史文化を生かした通年観光は、(1)雪国文化の「雁木町屋」「寺町」の町並みの整備・保存(2)楽しめるまち直江津をつくる(3)春日山城を上杉謙信公の聖地とし本格的な観光地に整備する―の3点を柱に据える。

 直江津地区での取り組みでは「鉄道博物館」の整備を掲げる。同地区で直江津D51(デゴイチ)レールパークをオープンさせた、えちごトキめき鉄道(上越市東町、鳥塚亮社長)などと連携して取り組む考えで、「魅力ある資源を、直江津の町全体を面として捉え、来訪者が楽しめるものの一つとして整備したい」。概要や整備スケジュールは「時間をかけ、庁内や関係者と検討していく」という。

ふるさと納税

 ふるさと納税制度の返礼品活用については積極的な姿勢を見せており、「当市のさまざまな魅力ある産品の需要を高めていくための一つの仕掛けとして、産業振興、地域活性化に取り組む」と力を込める。事業の進ちょくは「現在、より具体的な戦略の制度設計を進めており、新年度予算と合わせて示したい」としている。

 「地方一般財源の在り方に影響が大きい」「制度本来の趣旨を大切にしてきた」と、返礼品活用に消極的だった村山市政から方針を転換する。

子育て支援

 「子育て全国一」に向け、多様な施策を打ち出す。緊急時に代理人が子どもを保育園などから病院に連れて行ける制度の創設、保育料軽減、通学しやすい環境の整備などを構想。返済しなくても良い奨学金は、令和5年度からの制度化が目標で、関係課による検討が始まっているという。

 政策協定を結んだ宮越馨市議(無所属)が提唱する「子供年金制度」については、同氏が再三求めているニーズ調査を検討する意向を示している。

記事参照元:タイムスLite

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

1 × 3 =