新潟上越市の高齢者施設で虐待 ほとんど服を着ていない状態の入居者を撮影、関与の職員ら5人を懲戒処分
新潟県上越市国府2のサービス付き高齢者住宅「やさしえ国府」で、ほぼ衣服を着ていない状態の入居者を職員が携帯電話で撮影し、他の職員に写真を見せるなどの不適切な行為があり、虐待事案として関与した職員ら5人を処分していたことが11月10日、分かった。厚生労働省高齢者支援課は新潟日報社の取材に対し「高齢者への心理的、性的虐待に当たる可能性がある」としている。
施設は11月9日夜、入居者や家族向けの説明会を開いた。関係者らによると、8月1日午後7時半ごろ、入居者が自室にいなかったことから職員3人が館内を捜索し、自室ではない部屋にほぼ裸の状態でいるのを発見した。
発見時、職員2人が失笑するような態度を取り、このうち1人は携帯電話で入居者を撮影し、翌日他の職員に写真を見せた。捜索した職員3人は入居者を自室まで誘導する際、衣服を着せずに廊下を歩かせた。3人のうちの1人と、さらに別の職員1人が翌日以降、館内の防犯カメラに映っていた誘導時の映像を他の職員に見せるなどした。
8月に内部通報があり、施設を運営する「やさしい手」(東京)の内部監査室が職員に聞き取りをして問題が発覚した。
虐待に関与した職員4人のうち、写真を撮影した職員は懲戒解雇とし、他の3人と施設支配人を11月1日付で減給や降格などの懲戒処分とした。
やさしい手は新潟日報社の取材に対し「プライバシー、個人情報保護の観点から回答できない」としている。
虐待について関係者が上越市に通報した。市高齢者支援課は「個別の事案にはお答えできない」とした。
高齢者虐待防止法では、介護施設職員らによる高齢者虐待行為には、暴力といった「身体的虐待」、暴言や無視などの「心理的虐待」、わいせつ行為をするといった「性的虐待」などがあるとしている。
日本高齢者虐待防止学会理事で、新潟県立看護大(上越市)の小長谷(こながや)百絵教授は「一連の行為は心理的、性的虐待に当たるが、問題が起きた背景を勘案した上で職員側に対する教育や支援も必要だ」と指摘した。
記事参照元:新潟日報デジタルプラス