被害全容判明まだ先 能登半島地震から1週間 上越地域 負傷者10人、建物被害578棟 農地など状況把握はこれから
石川県で最大震度7、上越地域で最大震度5強を観測した1日の能登半島地震から、8日で1週間を迎えた。県災害対策本部によると、上越地域における7日午後1時時点の負傷者は上越市6人(うち重傷1人)と糸魚川市4人の計10人。建物被害は上越市で一部損壊など374棟、妙高市で同7棟、糸魚川市で半壊3棟、一部損壊194棟の計197棟。各自治体は建物の被害調査を進め、罹災(りさい)証明書を発行することで復旧を支援する。ただ積雪などもあり農地や山間部の状況は完全に把握されておらず、被害の全容が明らかになるまで時間がかかりそうだ。
インフラでは、上越市茶屋ケ原地内の国道8号で高さ55メートル、幅80メートルにわたって土砂崩れが起き、国土交通省が復旧作業を進めている。復旧時期は明らかになっていない。国交省とネクスコ東日本は上信越道上越高田インターチェンジ(IC)―能生IC、北陸道上越IC―能生ICなどを代替路として、通行無料で供用している。市道は上越市内3カ所で通行止めが発生。復旧時期は未定。
9日から3学期が始まる学校については、県によると上越市で高校はじめ県立8校、市立小・中学校33校で天井のコンクリート片落下や壁の亀裂といった被害が発生。妙高市は市立2校、糸魚川市は県立4校で壁のひび割れや廊下の亀裂などの被害が出た。
港湾では姫川港(糸魚川市)に異常は確認されなかったものの、直江津港では液状化現象とみられる被害やカーフェリー関連設備で舗装の段差が発生。今後復旧を急ぐ。農業用ダム、防災重点農業用ため池は県内全てで点検が終わり、異常は確認されなかった。
◇津波被害が発生 避難方法に課題
上越市と糸魚川市では能登半島地震発生後、津波の被害があった。特に上越市では津波が海岸だけでなく一部の住宅地にも押し寄せた。車による避難は幹線道路の大渋滞と津波に巻き込まれる危険を増大させる恐れもあり、両市は避難方法の提示を迫られる。国交省は津波の規模などの解明を進めている。
◇医療チーム、消防 石川県内で活動
甚大な被害が出ている石川県への派遣も行われている。県によると5日、さいがた医療センター(大潟区)から県災害派遣精神医療チーム(DPAT)が向かった。上越地域消防局は県緊急消防援助として、1日から同県内に派遣されている。
記事参照元:上越タイムス電子版