醸すは上越・頚城酒造!高級日本酒「XO」、ワッカジャパン(札幌市)が販売 新潟出身のブランド創設者が柿崎区産素材を厳選

柿崎区産の酒米や湧き水を使って醸造された高級日本酒「XO」2種(ワッカジャパン提供)

厳選した国産米や日本酒などを販売する「ワッカジャパン」(札幌市)が、新潟県上越市柿崎区産の酒米と湧き水で造った高級日本酒「XO」を2023年末から国内で販売している。頚城酒造(上越市柿崎区)に製造委託した商品で、2年目となる24年分の醸造は2月に終わり、秋に発売する予定。関係者は「国内での認知度を高め、XOのブランドを育てていきたい」としている。

ワッカジャパンは2009年、香港で日本産米専門店として事業をスタート。南魚沼市や北海道、長野県などの農家から直接仕入れた米を海外の自社設備で精米し、現地の飲食店や個人に販売している。現在はシンガポール、台湾、ハワイ、ベトナムなどに拠点を持つ。日本産米の需要が海外で拡大する中、近年は日本酒の取り扱いを求める声も増え、日本酒の輸出販売にも力を入れている。

「XO」はワッカグループ・シンガポール店代表の佐藤祐一さん(42)=新潟市出身=が立ち上げた日本酒ブランド。国内の出荷量が減少する中、純米酒や純米吟醸酒といった高級酒は出荷量が増加傾向に転じているというデータもあり、質にこだわった高価格帯の酒を考案した。

高級ワインやブランデーを好む層をターゲットにした商品で、佐藤さんは「洋酒と肩を並べられるような、今までにない酒を作りたかった」と語る。

使用する酒米や水に徹底的にこだわり、吟味を重ねた上で佐藤さんが選んだのは、柔らかな甘みと複雑な香味を生み出す新潟県が育成した酒米「越淡麗」だ。平成の名水百選にも選ばれた柿崎区東横山の「大出口泉水」の湧き水で栽培できる農地を取得し、農薬や化学肥料を使わずに越淡麗を自社で栽培。仕込み水にも、この湧き水を使っている。

タンクに仕込む前に蒸した酒米を冷ます頚城酒造の蔵人たち=3月21日、上越市柿崎区柿崎の頚城酒造(頚城酒造提供)

製造を委託する頚城酒造とは日本酒の輸出で取引があり、今回は1、2月に醸造を行った。米の味をダイレクトに感じられる商品にしようと、無濾過(ろか)・無加水で製造。現在蔵で熟成中だ。頚城酒造の八木崇博社長は「仕込みは杜氏(とうじ)がより丁寧に目をかけられるよう、1タンクのみを使用し、720ミリリットル換算で1000本ほどしか作れない貴重なお酒」と話す。

XOは2種類で「XO WHITE」が720ミリリットル入り9300円。醸造した酒のうち濃縮された10%ほどの「中取り」と言われる部分を抽出した「XO PREMIER」は720ミリリットル入り5万5800円。アルコール度数はともに14・5%。XOの公式LINE(ライン)で購入できる。

佐藤さんは「今まで日本酒を飲んでこなかった人たちにもXOをきっかけにおいしさを知ってほしい。高価格でも受け入れてもらえることを証明し、日本酒業界全体を盛り上げたい」と意気込んでいる。

記事参照元:新潟日報デジタルプラス