被災した歴史的建造物の保存、活用へ 能登半島地震受け市民団体がフォーラム
新潟県上越市のまちづくり市民団体「上越の歴史的建造物と景観を守る会」(磯田一裕代表)は2024年6月22日、同市中央1のレインボーセンターで「上越歴史建築フォーラム」を開いた。能登半島地震で被災した歴史的建造物の保存、活用に向け、専門家や市民ら約50人が意見交換した。
市内では同日現在、国登録有形文化財15件、指定文化財7件の被災、土蔵やしっくい壁など、文化財の登録や指定がない歴史的建造物の被害も確認されている。同会は被災建物の調査研究をはじめ、市民への発信、行政への提言を通して、解体や撤去の危機にある歴史的建造物を守ろうと3月、建築士を中心に市民有志で立ち上げた。
設立記念として開かれたフォーラムでは、東日本大震災などの震災や水害の被災地で建物調査、修復支援に取り組む新潟市の建物修復支援ネットワーク代表、長谷川順一さんが講演した。
伝統的な木造建築では柱が傾いたり、土壁がはがれたりすることで地震の衝撃を分散させており、「修復を前提に作られている」と構造を説明。ワークショップなど地域を巻き込んで修復を行った事例も紹介し「(建物が)復興の象徴となった。業者に任せてしまう仕事を外に見せていくことが地域の伝統につながる」と語り、積極的な情報発信も提案した。
また上越市内で被災した文化財の所有者らによるパネルディスカッションも行われた。
同会では今後、市民向けに歴史建築を巡るまち歩きや復旧ボランティア活動を予定している。磯田代表は「被害を見て壊さなければと諦めず、まずは専門家の意見を聞いてほしい。歴史的建造物や景観に目を向けてもらい、まちへの誇りや愛着につなげたい」と話した。
記事参照元:上越タウンジャーナル