あんどんとベンチ〝二刀流〟 吉川区出身・上野加奈子さん制作 NPO法人に寄贈 雁木町屋に溶け込む

 吉川区出身で長岡造形大建築・環境デザイン学科4年の上野加奈子さんは15日、あんどんベンチをNPO法人街なみFOCUS(岸波敏夫理事長)に寄贈した。上越市大町5周辺に設置され、雁木町家に溶け込んだデザインで夜の雁木を照らす。

雁木町屋に溶け込んだあんどんベンチを制作、寄贈した上野さん

 上野さんは高田高在学時に雁木の魅力を知り、大学の卒業設計の題材に選んだ。昨年夏から上越市に通い、同NPOなどから話を聞いたり、住民にアンケートを取ったりした。その結果から、雁木は生活に根付いているが、明かりが少なく、夜間の歩行が困難だと分かり、あんどんを作ることに決めた。そして歩行中に休憩できるベンチを兼ねたデザインを考えた。

上野さんが指導を受ける同大の羽原康成准教授は、全国の建築・環境系の大学が集まり木を使ったものづくりをする「木匠塾(もくしょうじゅく)」の塾頭を務めている。その活動が上野さんの卒業設計と合致していることから、同大でも木匠塾を立ち上げた。企業から活動助成を受け、後輩らも制作に加わった。
あんどんはベンチ型が四つ、縦置きが一つ。雁木町屋でよく見られる格子をデザインに取り入れ、杉材を景観に合う色合いに塗装。歩行の妨げにならないよう小ぶりに設計。また管理の手間を省くため、太陽光発電で自動点灯するようにした。

あんどんは大町5の他に瞽女ミュージアム高田(同市東本町1)、きものの小川(同市本町7)前にも一つずつ置かれる。上野さんは「景観に配慮して取り組んでいる街の日常の当たり前なものになってほしい」と願っている。
羽原准教授は「地域の人とコミュニケーションを取り、地域のことを考えてデザインした。特殊な構造形式で、よくまとまっている」と評価。あんどんの一つは5月末から東京・ビッグサイトで開かれる「リフォーム&リサイクル建築再生展」で展示される。

同大の木匠塾は来年度、サークル活動に登録を予定している。次期代表の百瀬優芽さん(2年)は「デザインはある程度いいものができたと思う。今後も活動を引き継いでいきたい」と話した。岸波理事長は「貴重なベンチを頂き、誇りに思っている。これからも頑張って活動してほしい」と感謝とエールを送った。

記事参照元:タイムスLite

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

two × 3 =