[能登半島地震]新潟上越市の中川幹太市長、地震当日に登庁できず 通行止めで対策会議にリモート参加、「『現場主義』掲げているのに」危機管理に市議から疑問の声
新潟県上越市で最大震度5強を観測した1月1日の能登半島地震を巡り、中川幹太市長の対応や認識に市議らから疑問の声が上がっている。災害対応の指揮を執る市長は発災当日、道路の通行止めで登庁できず、地震災害対策本部の会議にはリモートで参加。4日の記者会見では、車での避難に関する発言を事務方が後で釈明する場面もあった。危機管理や情報発信が、今後市議会で議論になりそうだ。
1月1日夜、上越市役所で開かれた初回の災害対策本部会議。中川市長は駆け付けた市幹部を前に「正確な情報収集に努めてほしい」と強調した。ただ、市長の姿は会場にはなく、モニター画面から指示を飛ばしていた。
中川市長は中山間地の桑取地区在住。発災当初は自宅と市役所をつなぐ国道8号や北陸道が長時間通行止めになり、登庁できなくなった。登庁は1月2日朝となった。
中川市長は通信環境は問題なかったとし「オンライン会議などで指示を出していた。特に問題はなかった。桑取に住んでいるから、市長の業務ができないとは思っていない」との認識を示す。上越市幹部も「指示は随時受けていた」とする。
ただ、市議の中からは「『現場主義』を掲げているのに、現場に出られないことについて問題ないと判断するのはいかがなものか」との声が上がる。
もし停電に見舞われればリモート参加も難しくなった可能性もある。「危機管理上の改善点は本当になかったのか」などの指摘が出ており、今後市議会で議論になりそうだ。
中川市長の情報発信についても改善が求められそうな場面があった。記者会見の内容を事後に訂正や修正することがしばしばある市長。1月4日の年頭記者会見で、上越市の地震への対応を問われ「大きな課題は今のところない」「万全だったと考えている」との見解を示した。
しかし、上越市内では発災時、津波警報を受けて避難する車が幹線道路に集中し、渋滞が発生。市の津波避難についてのマニュアルでは、車両避難は渋滞に巻き込まれる恐れがあるため、徒歩での避難を求めている。
中川市長は、年末年始の帰省・旅行シーズンだったことを念頭に「市外から来ている人たちが主に車で逃げたと思っている」と述べた。
だが、会見後の事務方による記者説明会では、防災担当者が「(車両避難をした人の)大半が県外の人というニュアンスで受け止められる言葉だったが、地元の人も車で逃げたというのが事実」と釈明した。
その上で「地元の人々がどうして避難方法として車を選択したのか確認しないといけない。詳細な部分は検証したい」とし、課題点を洗い出す方針を強調。中川市長の発言と事務方の考えとの微妙なズレがあらわになった。
記事参照元:新潟日報デジタルプラス