上越市 津波避難で要支援者の車使用を検討
先月1日の能登半島地震で津波被害があった上越市では、高齢者や障がいのある人などが自力で避難できず課題が浮き彫りになりました。津波からの避難は原則徒歩となっていますが、市ではひとりで避難することが難しい要支援者について、車に乗せた避難を検討していることが分かりました。
これは16日(金)に開かれた「令和6年 能登半島地震連絡調整会議」で明らかになりました。能登半島地震では上越市に海面からの高さ5.8メートルの陸地まで津波が押し寄せ、港町で住宅の浸水被害が15件ありました。
先月1日 関川を遡上する津波
そうしたなか、足が不自由な高齢者や障がいのある人など、ひとりで避難することが難しい「要支援者」が避難できない課題が浮き彫りになりました。
市は津波からの避難について、車を使うと渋滞が発生し逃げ遅れる原因になるとして、原則徒歩を呼びかけています。一方で要支援者の避難計画は個別にあり、近くに住む人などが避難に協力することになっていますが、車を使うかは明記されていません。そのため市では要支援者の避難計画を見直し、今後車に乗せた避難を検討していくことになりました。
上越市危機管理課 柳時夫 危機管理指導官
「日本海の津波は10分~20分で津波くる。避難する時間的猶予がない。車を使った避難を検討するところに入っている」
先月1日 山麓線飯交差点
市では、要支援者が車でスムーズに避難できるよう、自力で避難できる人には改めて車を使わず徒歩を呼びかけています。
柳時夫 危機管理指導官
「市民と話し合って訓練を行い、浸透・周知を図っていく必要がある」
一方で、市の津波ハザードマップの作成に関わった新潟大学災害・復興科学研究所の卜部厚志教授は、能登半島地震の被害を受け、車を使った避難のあり方について見直す必要があると指摘しています。
新潟大学災害・復興科学研究所 卜部厚志教授
「徒歩が原則といってもできないのが現実。どうやったらうまく避難できるかを考えていくべき。地域の人だけが知っている裏道を使うなど、名立区などで検討していくと地域の人から聞いている。地域で話し合う機会をつくることから始めてほしい」
能登半島地震のあと、佐渡沖にある断層がずれ動きました。一方で、この断層の一部に動いていない「割れ残り」があると専門家は指摘しています。今後の地震・津波の可能性について、卜部教授は次のように話しています。
新潟大学災害・復興科学研究所 卜部厚志教授
「(先月から)M6、M5の地震が頻発している。津波はもう少し大きくないと起きない。(小さな地震で)散らしてくれているので、(大地震発生の)可能性はかなり低い方向に推移している」
記事参照元:上越妙高タウン情報