上越市が新年度予算案発表 7.9%増の1023億1903万円 災害対策強化やコワーキングスペースの東京事務所設置
新潟県上越市は2024年2月19日、2024年度当初予算案を発表した。一般会計は約1023億1903万円で、本年度当初予算より75億2589万円(7.9%)増となり大幅に増えた。新上越斎場や金谷地区公民館の整備をはじめとした普通建設事業費や人件費の増加が要因で、2017年度以来の1000億円を超える規模となった。能登半島地震からの復旧支援や地震津波対策、中川幹太市長の看板公約として本年度内に策定予定の通年観光計画の具体的取り組みに着手する。コワーキングスペースを活用した事実上の「東京事務所」も設置する。
制度融資預託金などを除いた実質予算額に国の補正予算を加えた実質的な予算規模は1010億2700万円で、2023年度に比べて60億9630万円(6.4%)増となった。
歳入では市税収入は2023年度当初予算と比べ18億円(5.6%)減の304億6547万円で、国による定額減税や大手製造業などの法人の申告納税額の減少による。歳入不足を補うため、市の貯金に当たる財政調整基金を17億9173万円取り崩し、2023年度決算見込みで56億4106万円の残高は、2024年度当初で53億4948万円に減少する。
防災行政無線更新や木造住宅の耐震化支援
地震津波対策では、新たなシステムを取り入れた防災行政無線や津波浸水想定区域への高性能スピーカーの整備(1億615万円)、町内会や自主防災組織が購入する車いすなどの避難支援用品の購入補助(2060万円)、木造住宅の耐震化支援(3197万円)などに取り組み、地域の防災力を強化する。
通年観光は重点エリア別の計画策定など
7年間で49億円の事業費を見込む通年観光計画の初年度の予算額は、8661万円。春日山城跡の杉の伐採や直江津屋台会館の活用策を探る社会実験をはじめ、重点エリア(春日山、直江津、高田)の個別の計画を策定する。
民間事業者に委託し、妙高市にスキーに訪れている外国人向けの体験コンテンツをインターネットで販売し上越市への誘客につなげるインバウンド誘客促進(2997万円)も実施する。
このほか主な新規事業は、認知症高齢者の見守りGPSの貸与(68万円)、道路舗装点検にAI診断を試行導入(194万円)、市民を対象にした小木直江津航路の運賃割り引き(189万円)、長期休業中の放課後児童クラブへの昼食配食サービス(149万円)など。
記者会見で中川市長は「能登半島地震からの復旧復興に引き続き取り組むとともに、今回の災害対応を振り返り、災害に強いまちづくりを一層推進するほか、長期化する物価高の影響を受けている市民生活や市内経済の状況にも注視していく」と述べた。
市長公約「東京事務所」はコワーキングスペース
都内にあるコワーキングスペースを活用し、同市の魅力発信や企業・団体とのネットワーク強化(470万円)に取り組む。中川市長は公約に「東京事務所の設置」を掲げており、このコワーキングスペースが事実上の東京事務所という位置付けだ。場所は未定としている。
中川市長は「東京事務所は従来型の事務所の形にとらわれず、機能やあり方を検討してきた。職員の立ち寄り場所として、東京での人脈作りに役立つと思う」と述べた。
新年度予算案は2月28日に開会する市議会3月定例会に提案される。
▽市議会3月定例会に提案される予算案など
記事参照元:上越タウンジャーナル