迷ったらエピペン打つ 食物アレルギー対応研修 昨年の事故発生受け上越市教委 対象は市内全教職員

講師の今井教授が過去の事例などを基に対応策を指導。全教職員が当事者意識を持ち、日頃から訓練などを重ねる必要性を訴えた

上越市教育委員会は26日、学校における食物アレルギー対応を学ぶ研修会を同市本城町の高田城址公園オーレンプラザで開いた。アレルギー事故防止や事故時の適切な対応のための知識を学んだ。

研修会は昨年9月に同市内の小学校の給食で、アレルギーにより児童が入院する重大事故が発生したことを受け実施。市内小中学校、保育園、認定こども園の教職員を対象とし、約600人が会場で聴講。保護者や医療関係者も参加した。動画配信を同時に行ったほか、後日の動画視聴などを通じて、小中学校の全教職員が研修を受ける。

講師は昭和大医学部教授で日本アレルギー学会指導医の今井孝成さん(54)。今井教授は学校の全職員が当事者意識を持つことの重要性を強調。学校にアレルギー対応委員会を設置し、全教職員が連携し対応する体制が必要だとした。対応マニュアルの運用は対策の前提とした上で、「それでも事故は起きる」と語り、事故対応の訓練を定期的に実施するよう呼びかけた。

事故時の対応も具体的に説明。元気がない、立っていられないなどの症状は緊急性が高く、エピペン注射を行うよう呼びかけた。アナフィラキシーやショック症状が発症した場合は分単位で病状が悪化するため、よどみない対応が必要とし、「迷ったら打つ。エピペンを打っても死なないが、打たないと死んでしまうかもしれない」と力を込めた。

給食での食材除去は必要最低限にすることを併せて呼びかけた。アレルギーが重症でない場合、完全除去を続けると治療されにくくなることや、食事に制限があることで子ども本人の心の健康に影響があることを指摘。今井教授は研修会後の取材に対し、「不必要な除去をしている人が多い。まず正しい診断を受けてほしい」と話した。

記事参照元:上越タイムス電子版