地元への思い次の世代に 陶芸家・髙井進さん最後の個展 「卒作陶展」遊心堂ギャラリーで25日まで
中郷区に妙高焼の窯を構える髙井進さん(83)は、今年で陶芸家としての活動に終止符を打つことになり、25日まで上越市本町4の遊心堂ギャラリーで最後の作品展「卒作陶展」を開いている。開場時間は午前10時から午後5時30分(最終日は同4時)まで。
髙井さんは旧妙高高原町生まれ。1977年に窯を開き、日本陶芸展、伝統工芸新作展、日本伝統工芸展の入選や日本工芸会正会員認定、県知事表彰受賞など、さまざまな実績を持つ。全国各地で400回以上の個展を開いている。
一昨年夏に脳梗塞を患い、40年以上続いた窯を閉じることとなった。「焼き物は一応これで卒業。寂しさは当然あるが、仕方ない」と思いを話した。会場には手元に残してあった焼き物約100点を展示。作品は茶器や花器、皿など幅広く、青磁や中国の景徳鎮で制作した白磁などが並んでいる。
会場には妙高山などを描いた絵画約20点も展示している。絵画は約30年前から描いているが、今回は最近のものを出展している。アクリル絵の具で描いたものが中心で、墨を使った作品もある。髙井さんは「体の調子を見ながら、家の周りや記憶をたどって描いていきたい」と話した。
同店での個展は8回目。会場には昭和54年に同店が髙井さんら地元の若手作家5人の作品を集め、旧上越平安閣で開いた作品展の写真なども飾っている。
髙井さんは上越陶芸協会会長、久比岐野陶芸展実行委員会会長を務め、地域の陶芸発展に尽力した。地元の公共施設を飾る陶板作りの指導や、居多ケ浜の砂など地元の土を使った作品作りに取り組むなど、地元・上越地域への思い入れが強い。「妙高に育ち、年齢を重ねると、特に思い入れは強くなる。大したモデルではないが、次の世代につなげて関心を高めてもらいたい」と思いを話した。
記事参照元:タイムスLite