雪下ろしの事故防止へ “アンカー補助制度” 周知が課題
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昨年度、雪下ろしの事故が相次いだことを受け、県内の各自治体が雪下ろしの際に命綱を固定するアンカーや柵の設置費用を補助する動きが広がっています。
一方で、制度が十分周知されておらず、取り付ける業者の数が少ないなど課題も出てきています。
県によりますと、大雪となった昨年度、雪下ろし中に転落するなどして231人がケガをして9人が死亡しています。
こうした雪の事故を防ごうと県は命綱をつけて作業するよう呼びかけていて、今年度から市町村と連携して命綱を固定するアンカーや作業をする人の転落を防ぐ柵を屋根に取り付ける費用を補助する事業を始めています。
県によりますと昨年度アンカーなどの設置費用を補助する事業を行ったのは十日町市と魚沼市の2つの自治体にとどまっていましたが、今年度は長岡市、上越市、三条市など11の市町村が新たに補助事業を行っています。
自治体によって対象となる世帯や補助の金額は違いますが、一般家庭で5万円程度、お年寄りなど要援護者がいる家庭で10万円程度が多くなっています。
上越市の黒田俊一さんの住宅です。
先月、市の補助制度を活用した雪下ろしの際の転落を防ぐ柵を設置しました。
黒田さんは妻と2人暮らしですが、高齢のため、雪下ろしは業者に依頼しています。
「業者も高齢だから…」。
市の補助制度の活用で、工事費用が15万円のところ、10万円が補助されました。
こうした制度、今年度から補助を始めた自治体では申請が伸び悩み、制度への周知が十分ではないところがあります。
また、自治体からは柵やアンカーを取り付けられる業者が少ないといった指摘もあり、業者の育成にも課題がありそうです。
雪の事故に詳しい長岡技術科学大学教授でNPO法人中越防災フロンティア理事の上村靖司さんは「昨シーズン、雪下ろしで大勢の方が亡くなったことを思い出してほしい」としたうえで「工事方法の定着や業者の若手の育成が大事で、設置事業に手をあげていない工務店が多いことも課題だ。ぜひ、多くの工務店と自治体が連携し、わたしたちも一緒にアンカーの普及を図っていきたい」と話していました。
記事参照元:NHK