新潟上越市、広島平和記念式典への中学生派遣を「復活」 ウクライナ侵攻などで市が規模縮小撤回

 歳出削減などを理由に規模を縮小していた広島平和記念式典への中学生派遣について、新潟県上越市は2023年度以降、規模を元に戻し、全24校から1人ずつ送り出すことを決めた。規模縮小に対する市民団体や市議会からの批判のほか、ロシアによるウクライナ侵攻などで核兵器使用への危機感が高まっていることを受け“復活”。核廃絶への思いをより多くの中学生に共有してもらう考えだ。

上越市は1995年に非核平和友好都市宣言を行い、翌96年から、8月6日に広島市で行われる平和記念式典に上越市内の中学生を派遣。2018年までは全校から生徒を送っていた。

前市政下の19年から行財政改革などを理由に参加校を3分の1に縮小、各校の持ち回りで派遣される形式に変更した。新型コロナウイルス禍により20、21年は派遣を取りやめたため、19、22年で計16人を送るにとどまっていた。

派遣規模の縮小に対し、市内の平和団体や市議会からは「行革を理由に縮小してもよい活動ではない」「非核平和友好都市宣言をした当時に立ち戻るべきだ」といった声が相次いでいた。

ウクライナ侵攻のほか、北朝鮮の弾道ミサイル発射、台湾情勢の緊迫化などを背景に平和を希求する思いや活動は世界的に広がっている。市はこうした状況も踏まえ、23年度一般会計当初予算案では267万円を盛り、市内の全24校から生徒を選抜する方式を復活。次年度以降も継続したい考えだ。

中川幹太市長は広島大(東広島市)出身で、広島県とのゆかりも深い。市長は取材に「8月6日と長崎に原爆が投下された9日への意識は常に持っている」と強調。ウクライナ侵攻で核使用への懸念が高まっているとし、「子どもたちに核兵器をなくしていくことの大切さを伝えていかないといけない」と事業の意図を語った。

記事参照元:新潟日報デジタルプラス

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