提出した業務実施体制書と異なる実態 従業員0人の受託会社 再委託協力先1社だけに変更 上越市通年観光プロポ出来レース問題

上越市の通年観光計画策定支援業務のプロポーザルで、選定されたEssa(エッサ・本社新潟市)が市に提出した業務実施体制書に同社の再委託協力先としてNOTEと新潟日報社の2社が記載されていたにもかかわらず、実際にはNOTE1社への再委託で業務が進められていることが分かった。Essaはプロポーザルで新潟日報社の情報発信力を強くアピールしており、事業者選定の審査ではこうした業務実施体制自体も評価基準になっていた。さらにEssaは従業員0人の会社であることから再委託協力先が事実上減ることは業務遂行の根幹に関わるとみられるが、市はいずれについても「問題ない」としている。

業務実施体制書には新潟日報とNOTEの2社

Essaが提出した業務実施体制書では、新潟日報社の役割は「新聞紙面を通し、地域合意形成の一助とする」とされ、NOTEは全国各地での知見を生かした「計画策定」を担当することになっていた。また、「市とEssaとの連携協定」締結が、新潟日報社が協力する条件として記載されていた。

業務実施体制書の記載
詳しく図解されている

市「新潟日報社による情報発信不要」と判断

こうした業務実施体制書にもかかわらず、新潟日報社の協力体制が実現していないことについて市は「プロポーザル後、契約前の協議において(新潟日報社による)新聞紙面の活用も連携協定も必要ないと考えた」と説明する。

プレゼンで「新潟日報社の情報発信力」アピール

しかし、Essaはプロポーザルのプレゼンテーションで、基本方針の一番最初に「実現性の高い計画策定」とうたって、2社を再委託協力先とすることを記載していた。NOTEのノウハウを紹介するとともに「新潟日報社の情報発信・地域ネットワークカを最大限に活かし、地域とともに上越市の地域特性や地域事情を考慮した実現性の高い計画策定を目指します」などと強くアピールしていた。

Essaのプレゼン資料(黒塗りは情報公開請求で非公開と判断された部分)

審査でも業務実施体制が評価基準に

また、プロポーザル選定委員会の評価基準にも「実現性」の観点で「提案内容に対し、必要かつ十分な実施体制を備えているか」という項目があり、業務実施体制そのものが評価の対象となっていた。「実現性」は15点満点で、他の2社が8.0点と6.7点だったところEssaは12.4点と圧倒している。

業務実施体制は提案内容か

市は「契約はプロポーザルの提案内容に拘束されるものではない」として、業務実施体制書の内容と契約後の実態が異なっていても問題はなく適正だと説明する。

しかし、業務実施体制書は、プロポーザルへの参加意思を表明する時点、プロポーザルの提案書を提出する前に市に提出する。商号、所在地、資本金、年売上高、従業員数などを記載した会社概要などとともに提出する文書で、責任者、業務従事者、再委託協力先などを書く。これらはいわば、事業者の客観的な状態を報告する文書で、独創性などが求められるプロポーザルの企画提案書の内容とは性質を異にするものとも言える。

議会では核心避けて答弁

通年観光プロポーザルをめぐる問題については9月28日まで開かれた市議会9月定例会でも4人の議員が一般質問で取り上げており、再委託協力先の問題については9月27日、橋爪法一議員が質問した。

NOTEと新潟日報社の役割について問われた担当部長は「再委託、協力先の会社がどのような仕事をするかということは細かいところは今、打ち合わせをしている最中で、わたしはその細かいところまでまだ把握していない」と答弁した。続けて新潟日報社には触れずにNOTEの計画だけを説明した。

しかし、市は契約前の時点で新潟日報社による情報発信を不要と判断し、すでに契約を済ませている。また、担当部長は今回のプロポーザルの選定委員の一人でもあり、関係する文書にはすべて直接目を通している。

「申請や応募に虚偽の内容はない」

さらに橋爪議員は「提出書類に照らして事実関係に齟齬がないか」などと再委託協力先についての調査を求めた。契約を担当する財務部長は「一連の手続きは適正で調査するつもりはない」、「申請や応募の関係の中に虚偽の内容はない」と答弁している。

記事参照元:上越タウンジャーナル

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

one + 9 =