地震から一夜明け上越市内の被害明らかに 国道8号土砂崩れ撤去着手できず 災害救助法適用

能登半島地震で震度5強を観測した新潟県上越市は2024年1月2日、2回目の地震災害対策本部会議を開き、市内の被害状況を確認した。同市にはこの地震で災害救助法が適用された。

国道8号の土砂崩れは撤去作業着手できず

国交省高田河川国道事務所によると、茶屋ヶ原の国道8号での土砂崩れは、幅80m、高さ55mにわたって発生し、1万立方mの土砂が路上にたまっている状況。県警ヘリによる上空からの捜索などでは車両や人の巻き込まれは確認されていないが、地上での捜索や土砂の撤去は土砂の状況が不安定で二次災害の恐れがあるとして、2日正午時点でまだ行われていない。安全が確認でき次第作業を進めるとし、通行止め解除の見込みは立っていない。

土砂崩れで通行止めになっている国道8号(高田河川国道事務所提供)

建物被害は一部損壊が60件

このほかの市内の被害は、2日午前9時時点で、避難中の転倒などで5人が軽傷を負ったほか、住宅や公共施設などで壁面損壊やガラス破損など計60件の一部損壊が確認された。道路陥没などで市道と県道計6か所が通行止めとなっているが、全て迂回路がある。

外壁が崩れた倉庫とみられる建物(上越市港町1)

水道被害では、板倉区の寺野浄水場の原水が濁ったため流入を停止し、同市と長岡市から給水車が出動し、配水池への注入を実施。給水区域の約250件に節水協力を呼び掛けた。

避難所は指定避難所124か所、福祉避難所6か所などを開設していたが、2日午前10時に津波注意報が解除されたため、避難者が帰宅した所から順次閉鎖している。

地震から一夜明けた上越市内の様子

関川河口近くの上越市港町1では、関川を遡上した津波が堤防の壁を越えて流れ込み、町内の一部の道路などに泥やごみがたまった。住民は2日朝から近隣と被害状況を確認し合いながら、ほうきで自宅前の道を掃いたり、シャベルで泥などを運んだりと片付けに追われていた。

道路にたまった泥などを片付ける港町1の住民(2日午前10時頃)

町内に住む女性(54)は「揺れで(60個ほどある)メダカの水槽の水が半分くらいずつこぼれて部屋が水浸しになった。パニックで立ち上がれなかった。怖くて夜通し起きていたので、余震のたびにどきっとしていた」と話していた。

地震と津波の影響で隙間が空いた堤防の壁と舗装がはがれた地面

避難のため関川河口近くにある実家へ両親を迎えに行ったという男性(47)は「直江津西防波堤よりも海面が盛り上がっているのが見えたと思ったら、あっという間に津波が来た。車のボンネットくらいまで波があって、車も流されながらなんとか逃げた。恐ろしかった」と語った。

地割れした関川河口近くの堤防

なおえつ海水浴場は小屋や木材が散乱

なおえつ海水浴場では、小屋が流されたり、海岸線の市道が木材や土砂が散乱してふさがれたりし、通行ができない状態となっている。

現場は建物や家財、木材、トタンなどが散乱するほか、自動販売機も流されている。津波警報が解除された2日午後、地元住民らが心配な面持ちで現場を訪れており、変わり果てた一帯の様子を呆然と眺めていた。

木材や土砂でふさがれた海岸沿いの市道(2日午後1時30分頃)

被害状況を確認していた地元町内会長の男性は「道がないですね。昨夜は避難所の会館を開けて救助が必要な人たちを運んでいたので、こんな状況になっているなんて。とても驚いている」と話した。

高台から見たなおえつ海水浴場

震災後初めて中川市長が現場を視察

中川幹太市長は2日、震災後初めて被害のあった現場を視察した。なおえつ海水浴場では被害の様子をスマートフォンで撮影しながら部課長らと現場を歩いた。「映像では見ていたが、やはり被害が大きいと確認した。関係機関と早めに協力しながら復旧に向けて力を尽くしていきたい」と述べた。

なおえつ海水浴場を視察する中川市長(右、2日午後2時前)

記事参照元:上越タウンジャーナル