2月導入の上越市パートナーシップ制度で2組が宣誓 新たな市民団体「制度を広める会」結成
新潟県上越市が性的少数者(LGBTQなど)らのカップルを婚姻と同等の関係、その子供や親を家族として証明する「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」を2024年2月1日に導入した。同市によると同29日までに2組のパートナーシップ宣誓があった。導入を求める活動を展開した市民団体は新たに「上越市にパートナーシップ制度を広める会」(阿部和子代表)を結成し、啓発活動に取り組むことにしている。
同制度は、性的指向や性自認により、法律上結婚できないカップルを婚姻相当の関係、またその3親等以内の親族を家族関係として公認するもの。同市では昨年、男女共同参画などに取り組む団体と個人で結成した「上越市にパートナーシップ制度を求める会」が6110人分の署名を市に提出するなどし、同市は今年2月に導入した。
宣誓は7日前までの事前予約制で、人権・同和対策室に宣誓書や住民票などの書類を2人で提出する。宣誓すると、宣誓書受領証明書と証明カードが交付される。宣誓書受領証明書が活用できる行政サービスは、親族として市営住宅への入居の申し込みや「縁故者」として住民票への続柄表記、パートナーの子供の保育園の送迎など。生命保険の受け取り人指定やクレジットカードの家族カード作成、携帯電話の家族割の適用など、民間のサービスでも家族と同等に扱われることが期待されている。
制度の導入について、市議会3月定例会一般質問で中川幹太市長は、昨年6月に施行されたいわゆるLGBT理解促進法を巡る性の多様性に寛容な社会に向けた活発な議論や全国の自治体で制度導入が進んでいることなどを踏まえて「総合的に判断した」と説明。「活用できるサービスの拡充を検討するとともに、多くの市民が性の多様性を認識し、理解を深めてもらうことが重要」と述べ、市民セミナーの開催や広報じょうえつなどによる啓発活動を行っていくとした。
署名活動を展開した「求める会」は、制度導入を受けて2月に新たに「広める会」を結成し、同市に対し教育現場や民間事業所への周知など、市民への啓発を積極的に展開するよう要望している。5月には同会が主催し、制度導入の報告と周知を目的とした「集い」を開催予定だ。
代表の阿部さんは「制度を導入して終わりではなく、広く市民に知ってもらわなければ意味がない。これからも啓発活動を行っていく」と話している。
▽宣誓制度利用の手引き(PDF)
記事参照元:上越タウンジャーナル