上越市に全国初の広域通信制高校課程と職業訓練を並行する「ライトシップ高等学院」来春開校へ

新潟県上越市に全国で初めて広域通信制高校課程と企業内訓練(OJT=On The Job Training)を並行して行う、職業教育を重視した新しいスタイルの広域通信制高校サポート校「ライトシップ高等学院」が2025年4月に開校(認可申請中)する。ドイツ式の職業教育を本格的に取り入れたカリキュラムで、地域産業を担う即戦力となる若者の育成を目指している。

ドイツの職業教育「デュアルシステム」採用

ライトシップ高等学院は株式会社LIGHTSHIPが運営。同社社長の松本将史学院長は、県立海洋高校で地元の川に遡上するサケを有効利用した魚醤(ぎょしょう)「最後の一滴」を生徒と共に手がけた元教員だ。

松本将史学院長

ドイツでは伝統的なマイスター制度を基に、義務教育修了後に企業での実践的な訓練(週3~4日)と職業学校での教育(週1~2日)を並行して行う「デュアルシステム」による職業訓練制度があり、同学院は松本学院長が海洋高や水産加工会社経営、海外視察の経験から、中学校卒業後の新たな選択肢として構想した。

通信制高校とOJTを並行

新潟産業大学付属高校通信制課程(柏崎市)のサポート校(認可申請中)で、生徒は3年間で高校卒業資格を取得できるほか、アルバイトやパート社員として地元企業で週3日、賃金を得ながら職業訓練を行う。訓練受け入れ企業は上越、妙高、糸魚川の50社以上で、業種は建設業や製造業、情報通信(IT関連)業、農林水産業、自動車整備業、卸売・小売業、宿泊・飲食サービス業、医療・福祉業、観光・旅行業など。学院と企業がカリキュラムを作成し、生徒は企業研究や見学、インターンシップなどを経て、訓練先を決定する。

企業での訓練のほかに、プロジェクト型学習も取り入れる。一例として、学習拠点(ラーニングベース)を設ける上越市の直江津港佐渡汽船ターミナル(新潟県に使用許可申請中)の土産店を復活させ、生徒が企画運営して上越や佐渡の土産品販売や試験的な飲食販売などを行う予定だ。

学習拠点が設けられる予定の直江津港の佐渡汽船ターミナル(新潟県に使用許可申請中)

学費は職業訓練の賃金で賄うことも可能

学費は産大付属通信制課程と同学院のいずれも必要になるが、学院分の48万円(初年度49万円)は職業訓練で支払われる賃金で賄えるという。佐渡汽船ターミナル2階会議室を改修して整備する学習拠点には教員免許所有者が常駐し、通信課程の学習支援を行う。専門知識への学習意欲の高い生徒には総合型選抜を中心とした大学進学指導も実施する。

松本学院長は「既存の全日制高校にはない具体や実践を学ぶ中で、自分自身が何ができるのかを知ってほしい。3年間できちんと技を磨き、何者かになって、就職や進学、起業などを考えてほしい」と話している。

7月27日に第1回学校説明会を開き、その後月1回程度開催予定。詳細や申し込みはホームページまたは050-8889-2254(平日午前10時〜午後3時)まで。

記事参照元:上越タウンジャーナル