「今日は昨日をになう」 亡くなった谷川俊太郎さん 上越市の県立高田北城高の校歌作詞 学校に直筆原稿も
2024年11月13日に92歳で亡くなった日本を代表する詩人の谷川俊太郎さんは、全国各地の学校の校歌を数多く作詞しており、新潟県上越市の県立高田北城高校もその一つ。同校の校長室には谷川さんが原稿用紙に書いた校歌の歌詞が飾られている。
1900年(明治33年)に高田高等女学校として創立した同校。最初の校歌は1925年(大正14年)に早稲田大学校歌の作詞で知られる糸魚川市出身の文人、相馬御風が手がけていた。創立100周年、110周年の記念誌によると、1975年に男女共学となった際、それまでの校歌は男子生徒にはそぐわない歌詞が多いことから新校歌制定が決まった。当時の高井正春校長の教え子で作曲家の竹田由彦さんが作曲を担当することになり、竹田さんを通じて谷川さんに作詞を依頼し、快諾されたという。
谷川さんは1976年12月に来校し学校周辺などを見学。正門前に広がる高田公園(現高田城址公園)の外堀を埋め尽くす「夏の蓮」や歩道脇に立ち並ぶ「春の桜」などの風景に、新たなスタートを切った生徒らに向けて、〈限りない歴史を思う〉〈限りない未来をめざす〉などと作詞した。地元にちなむ固有名詞は使われていない。
特徴的なのは後半部分で、1番は〈今日学ぶ今日のきびしさ その今日は昨日をになう〉、2番は〈今日歌う今日の幸せ その今日は明日をになう〉とある。2005年に上越市で開かれた講演会の質疑応答で、同校の生徒から歌詞の意味を尋ねられた谷川さんは「今日は昨日を背中に背負ってる。また、今の時間は過去にも未来にもつながり、一人一人が責任を持っていることを言いたかった」と歌詞に込めた思いを明かしている。
保坂哲校長は「どこにもない特徴的な校歌。高田北城高校周辺の景色がよくわかるほか、過去から未来に向けて、明るく希望に満ちている。夏から始まり春で終わるのも、命が芽吹く未来に向けた感じで終わるためだったのかなと想像できる。この校歌を大切にしていってほしい」と話した。
谷川さんは全国の幼稚園、小中高校、大学など100を超える校歌の作詞を手がけたとされている。
記事参照元:上越タウンジャーナル