新潟上越市内のタクシー、24時間営業撤退相次ぐ 感染禍で苦境、平日深夜は2、3台

新潟県上越市内のタクシー会社が相次いで24時間営業を取りやめている。新型コロナウイルスの影響で利用者が激減し、深夜から未明にかけての営業は採算が取れなくなった上、収入減で乗務員の離職も相次いでいるためだ。人口18万人を擁する県内第3の都市でありながら午前0時を過ぎるとタクシーが市内で2、3台程度しか稼働していないのが実情だ。(上越支社・計良草太)

日付が変わる前から、市内のタクシー会社の車庫では多くの車が眠りにつく。繁華街のある高田、直江津両地区に拠点を置くタクシー5社のうち、2020年に直江津タクシー(中央1)が週末を除いて24時間営業の中止に踏み切ったほか、高田合同タクシー(高土町1)も前日までに予約がなければ見合わせることにした。22年にはアイエムタクシー(大和6)も取りやめた。ファミリータクシー(鴨島2)は感染禍前から24時間営業はしていない。

唯一24時間営業を毎日続けているのは市内最大手、頸城ハイヤー(西本町1)だ。ただ、深夜から未明にかけては採算が取れないため、週末を除き、午前2時以降は高田、直江津の各営業所で1台ずつしか稼働させていない。

旧町村部では、浦川原タクシー(浦川原区日向)が24時間営業している。しかし、深夜や未明は割増賃金をはじめとした人件費がかかるため、大竹文一社長が自らハンドルを握ることが多い。同社の場合、営業エリアの制約があり、高田-浦川原のようなルートは走れるが、高田-直江津間の移動には対応できない。

▽1時間待ちも

タクシーの台数減は、客足が戻り始めた夜の街に影響を与えている。連日午前1〜2時まで営業している仲町3の居酒屋「炭火酒場 男塾」の男性店員(21)は、「電話でタクシーを頼んでも1時間ほど待たされるケースが増えてきた」と嘆く。

一方、直江津タクシーの水島数明社長は「人件費を考えると、深夜営業は全く採算が取れない。運転手の高齢化も進んでおり、週末もやめざるを得ない可能性がある」と明かす。

深夜のタクシーを必要とするのは酔客だけにとどまらない。夜中に救急搬送され、病院で入院不要と診断された人が帰宅する場合や、急に産気づいた妊婦らにとっては欠かせない移動手段だ。

ただ、台数が少ないことから、頸城ハイヤーの竹内二郎専務は「かなりの時間待ってもらうケースが月に何回もある」と心苦しそうに語った。

▽市に支援要望

上越市ハイヤー協会によると、市内全体の売り上げは感染禍前の7割程度に低迷。昨年10月には中川幹太市長に対し、経営支援や補助制度の拡大などを求めた。

協会の会長を務めるアイエムタクシーの牧野章一社長は取材に対し「タクシーも社会機能の維持に必要なエッセンシャルワーカーだと自覚している。しかし、自助努力だけでは破綻しかねない段階だ」と訴える。

上越市は昨年度末、タクシーに市の広告を出すなどの支援策を行ったが、今回の要望を受けての対応は未定。市交通政策課は「タクシーも鉄道やバスと同様、必要な公共交通機関だと認識しており、要望も受け止めている」と述べるにとどめた。

記事参照元:新潟日報デジタルプラス

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