地域の移動手段が残って「ホっ」、新潟上越市柿崎区のコミュニティバス好評 運行1カ月・デマンド方式で効率性高まり利用増、運転手の確保に課題

出勤や買い物などでコミュニティバスを利用する乗客=上越市柿崎区松留

 新潟県上越市柿崎区の米山山麓を走る路線バスの廃止に伴い、NPO法人「柿崎まちづくり振興会」が代替のコミュニティバス「はまなすバス」の運行を始めて1カ月が経過した。「通院するのに助かる」「バス出勤が続けられて良かった」などと利用者に好評な半面、運転手の人手不足など課題も抱えている。(上越支社・山際美香)

柿崎まちづくり振興会は10月2日、はまなすバスの運行を開始。停留所を定時に通る「定時・定路便」と予約に応じてルートを柔軟に変えて運行する「デマンド便」の計8便を平日に走らせている。

記者は10月下旬、午後3時30分に「柿崎コミュニティプラザ前」を出発するデマンド便に乗車した。デマンド便が下条地区で停車すると、歯科医院に行くという杉田美智子さん(77)が乗車した。

「路線バスがなかったので、これまでタクシーを利用していた」と杉田さん。はまなすバスは利用者の近くまで迎えに行くデマンド方式も取り入れたため自宅近くから乗車できるようになった。「運賃も割安でありがたい」と話し、歯科医院の前で下車した。

その後、「くろかわ診療所前」でさらに1人が乗車。仕事帰りという三輪一代さん(56)は、住んでいる松留から勤務先までの行き帰りで週4日利用するという。「車が運転できないのでコミュニティバスが運行されてほっとした。直江津に遊びに行く時にも乗っている」という。

はまなすバスの利用は登録して回数券を購入する。高校生以上が200円、中学生以下は100円、未就学児は無料。未登録の場合は500円で利用できる。

振興会によると11月10日現在、バスの利用登録は64世帯で、70歳以上の世帯がほとんどという。

上越市は、1年間の平均で1便当たりの利用者数が1人に満たない路線は廃止を基本としており、9月末で廃止した柿崎区の2路線はこれに該当していた。

単純に比較はできないが、はまなすバスは予約を受けて稼働するデマンド便が8便中6便と多いため、1便の利用者数が平均で1人以上となっており、効率性が高まっている。

はまなすバスの利用者は1日平均3〜4人。「予想以上に使ってもらえている」と中村修治理事(74)は話す。

一方、運転手確保の難しさなど課題もある。運行開始にあたり、運転手の募集に応じたのは1人で、70歳を超えている振興会のメンバー2人もハンドルを握る。「定時・定路便は約1時間半運転するが、便が続くと体力的にきつい」と中村さんは打ち明ける。

11月に1人補充されたが現在も運転手を募集しており、人手は足りていない。「冬場の利用状況を見ながらスムーズな運行を続けていきたい」と話している。

記事参照元:新潟日報デジタルプラス

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