津波被害受けた上越市港町 約7割が車で避難 避難方法など検討へ
避難の課題が改めて浮き彫りになりました。先月1日の能登半島地震で津波の被害を受けた上越市港町で、避難した住民のうちの7割が車で避難所に向かっていたことが分かりました。市が徒歩での避難を呼びかける中、なぜこのような結果になったのか。港町の町内会では、防災訓練を通して避難方法を再検討することにしています。
上越市港町では避難の課題を探るため、先月、住民にアンケートで避難方法や避難にかかった時間などを調べました。対象は港町1丁目と2丁目の260世帯で、6割を超える160世帯から回答を得ました。
アンケート結果によりますと、避難所に向かったのはすべての住民のうち、およそ8割でした。また避難した人の7割が車を使い、残りの3割は徒歩だったことが分かりました。
港町 防災士 泉秀夫さん
「F41断層(上越・糸魚川沖)の地震で震度6強が起きた場合、車が通れない可能性がある。(車での避難)注意が必要」
市では津波からの避難について、車を使うと渋滞が発生し、逃げ遅れるおそれがあるとして、原則、徒歩を呼びかけています。こうした中、町内会では、車が徒歩を上回った理由について、ふだんから車で移動する人が多いためだと分析しました。車で避難した人の中には、地元の避難所ではなく海から離れて妙高方面に向かった人もいたことが分かりました。
港町 防災士 泉秀夫さん
「(車での避難)渋滞で身動きが取れなかった。本来、避難しなくてもいい人が車を使い、渋滞になったのではないか。(車の避難)行政が調整してくれないと助かる命も助からない」
一方で避難できずに自宅にとどまった人は20人ほどでした。理由は家族が高齢である、病気があるなどです。ひとりでの避難が難しい「要支援者」については、個別の避難計画を町内会が作ることになっています。要支援者1人の避難につき、近くの住民など2人が必要とされていますが、今回、支援者が外出していたため不在だったなどの理由があり、すべての要支援者を避難させることはできませんでした。
港町 防災士 泉秀夫さん
「(高齢者)足が不自由な人や寝たきりで避難できない人がいた。どう避難するのか、車でうまく避難した人もいる。これは相反すること。車による避難と高齢化は大きな課題」
町内会では今後、今回のアンケート結果をもとに町内会で課題をまとめ、来年度予定している防災訓練を通して避難方法を再検討することにしています。
市では今後、「要支援者」の避難について、車に乗せた避難を検討することになっています。
記事参照元:上越妙高タウン情報