捕虜収容所、和解の歴史学ぶ オーストラリアの高校生来越 上越市平和記念公園を訪問

オーストラリア兵追悼碑(右)と日本の法務死者追悼碑(左奥)をつなぎ、平和と友好を願った

オーストラリアのニューサウスウェールズ州の高校生20人が2日、上越市川原町の平和記念公園を訪れた。同地にあった直江津捕虜収容所や、和解の歴史などを学んだ。

同州政府退役軍人局が主催する学習ツアーの一環で訪問。同国の戦争の歴史を学ぶ目的で、州内の高校生を選抜して実施している。今回初めて日本を行き先とし、9月30日から10月10日までの日程で来日。旅の責任者である田村恵子さん(69、キャンベラ在住)の推薦で、直江津が日程に盛り込まれた。

上越日豪協会(関勝代表)が一行を出迎え、公園内や展示館を案内した。

公園内では代表生徒がプレゼンテーションを行い、捕虜としての労働中の事故で亡くなったオーストラリア兵や、日本人法務死者について紹介。オーストラリア兵追悼碑と法務死者追悼碑の両方に献花した。上越日豪協会からの要望で高校生たちが手をつないで両国の追悼碑を結び、友好と平和を願った。

笠原さん(中央)が父とオーストラリア兵の交流を紹介

プレゼンテーションをしたエマ・タガートさん(16)は、父方の親戚であるジェームス・ダウントンさんが直江津捕虜収容所に収容されていた可能性が高い。ダウントンさんは収容所の職員をいさかいから殴ってしまい、その後に厳しい体罰を受けたという。タガートさんは「自分の目で見たことで、(収容所の)存在を実感した。手をつないだことで、若い世代で平和を続けていくという気持ちを共有できた」と話した。

地元市民による和解の運動について学ぶことも目的の一つ。展示館では平和記念公園ができるまでの取り組みをまとめた映像を鑑賞したほか、笠原一雄さん(86、同市安江1)の講話を聞いた。笠原さんの父の才一さんが戦時中にオーストラリア兵捕虜と憲兵の目を盗んで交流し、戦後も交流を続けていたことを紹介。生徒たちは熱心に耳を傾けていた。

記事参照元:上越タイムス電子版