上越市、地域協議会の「公募公選制」廃止へ なり手不足で選挙行われず、推薦と公募併用の新案公表

新潟県上越市は地域協議会の委員選任について、公職選挙法に準じた投票を行う「公募公選制」を廃止し、地域団体の推薦と公募を併用する新制度案を公表した。2025年度に制度設計や条例改正案の作成を行い、新制度による委員選任は28年度に実施したい考え。市は3月27日、地域協の会長に方針案を説明した。
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地域協は05年の14市町村合併とともに導入され、公募公選制などで全国的にも注目された。一方で、委員のなり手不足で選任選挙が行われないことや、年代、性別に偏りがあることが課題となっていた。中川幹太市長は地域自治改革を重点施策の一つに掲げており、市が委員選任の方法を含む改革案を検討していた。
方針案では、候補団体を地域協などが市に提案し、市が精査した上で委員を出してもらう。公募もするが応募多数の場合は選挙は行わず、市側が書類審査で決める。より多くの市民が参画できるよう任期は連続2期までに限定。無報酬だった現行制度を改め、一定の報酬を支給する。

地域協は従来通り、市長の諮問に対する答申と、自主的に審議が必要と判断した案件の審議、意見書の提出を行うほか、地域の目指す姿とその実現に向けた方策を盛り込んだ地域ビジョンの策定を担う。
また、新制度移行後、地域協は市と協力しながら策定したビジョンを基に、地域の課題解決のために必要な事業の企画立案、予算の精査や実施主体の調整を行う。各種団体が使える公募型補助制度も創設する。中川市政で導入した、地域団体などが予算要望して市が審査する「地域独自の予算事業」は将来的に廃止する。
市は3月27日に市内で開いた地域協の会長会議で方針を説明。出席者からは今秋に市長選が予定されていることから「市長が交代することになっても、この方針案が変わらないようにしてほしい」との意見のほか、「委員の女性枠を設けてはどうか」「公募公選制で委員の充足率が低迷していることについての総括はどうなっているのか」との声が上がった。
地域協会長会議にさきがけ、市議会3月定例会の総務常任委員会でも方針案の説明があった。議会からは「地域の声をきちんと代表する役割を果たすためには公募公選制でないとならない」「報酬に多額な金をつぎ込むのか」との意見が出た。
<地域協議会>旧上越市に周辺13町村が編入合併されて新上越市が発足したのに伴い、旧町村の市民の不安解消や主体的な地域課題の解決などを目的に市が13カ所に設置。その後旧市域にも導入して現在28の地域協がある。公共施設の設置や廃止など市長の諮問に対する答申と、自主的に審議が必要と判断した案件の審議、意見書の提出を行う。無報酬で任期は4年。公募公選の委員で構成し、改選時に定数に満たない場合は市側が市民から適任者を選び補充する。直近の2024年の改選では選任投票が行われた区はなかった。
記事参照元:新潟日報デジタルプラス