上越市の「メイド・イン上越」認証品に不良品 チタン定規目盛り不正確 「二十歳のつどい」で配布 ふるさと納税の返礼品にも
新潟県上越市が優れた製品を認証して販売促進などにつなげる「メイド・イン上越」に選ばれているチタン製定規の目盛りに不具合があることがわかった。メイド・イン上越認証製品はいわば市が太鼓判を押した逸品で、この定規は同市のふるさと納税の返礼品にも使われているほか、2025年4月5日に開催された「上越市二十歳を祝うつどい」の参加者にも記念品として配布された。

150mmの目盛り 実際は148mm
製品は新和メッキ工業(上越市土橋)が製造している魚の形をしたチタン製の定規兼レターオープナー「fish」。定規には150mmの目盛りがついているが、実際の長さは2mm短い148mmしかない。JIS(日本産業規格)は金属製の定規について製品の用途により、300mmあたり±0.2mm、±0.5mm、±0.8mmの3等級の許容誤差を定めている。文房具の規格はないが、このうち±0.5〜0.8mmに準じている製品が一般的という。しかし、このチタン製定規の誤差は300mmあたり-4.0mmに相当する。

発売後ずっと検品せず
新和メッキ工業によると、製品を発売したのは2021年で、2022年にメイド・イン上越に認証された。翌2023年4月に目盛りなどをレーザーで刻印する機械が故障し新調した。古い機械で使っていた目盛りのデータを新しい機械でも使い続けた結果、目盛りが不正確な製品が製造されたという。ただ、同社によると、製品発売後ずっと検品を怠っており、今月5日に開催された「上越市二十歳を祝うつどい」の参加者からの指摘で判明した。
同社の瀧見直晃社長は取材に対し「迷惑をかけて本当に申し訳ない。今後はしっかり検品をする。もう一度ゼロから皆さんに愛される製品を作っていきたい」と話した。
「上越市二十歳を祝うつどい」の記念品 参加者に3年連続配布
チタン製定規は今月5日のつどいに参加した1369人に記念品として配布されたほか、2023年と2024年にも参加者に配布されている。市は14日、同社が希望者に対して交換に応じると発表した。

ふるさと納税の返礼品で160件の寄付
2022年度から上越市のふるさと納税の返礼品にもなっており、市によると2024年度までに定規を返礼品に指定した寄付は合計約160件。現在は返礼品から外している。
「メイドイン上越」認証制度 審査は?
市が地域産業の振興のため優れた製品を認証する「メイド・イン上越」制度。認証にあたっては、市が事前に書類審査やヒアリングを行った上で、有識者らによる審査委員会が判断する。
認証制度を所管する市ものづくり振興センターは「すでに市場に流通している製品を対象としているので、新規性やオリジナル性などを中心に審査している」としているが、申請書には「品質管理」の項目があり「品質を維持するための生産、製造、流通及び販売における管理方法について記載」することが求められている。
同センターはこの製品の認証について「今後の対応は検討中」としている。
記事参照元:上越タウンジャーナル