スポカル 旧高田藩和親会・旧高田藩の歴史を継承 育英や墓地管理、幅広く活動
旧高田藩和親会(瀧見直人理事長)は江戸時代に上越地域を治めた旧高田藩の歴史や文化を保存・維持し、次世代の人材を育成する目的で活動している。本年度は公益財団法人10周年の節目の年となる。
会の起源は明治42年に創設された「榊原慈善団」。明治時代となり藩からの収入が途絶えた旧藩士は生活に苦しんだ。最後の高田藩主、榊原政敬は旧陸軍第13師団の入城の際に高田城を高田町(当時)に売却、旧家臣と共にその半分で藩士子弟の育英事業と生活扶助事業を行う財団法人を立ち上げた。
名称は同44年、「旧高田藩士族和親会」に変わった。昭和4年には「士族」が外れて現在の名称になり、併せて士族以外にも会を開放した。平成21年に100周年を迎え、公益法人制度改革により同24年に公益財団法人となった。
時代の変化で行政による育英制度が充実したため、現在は歴史を継承する事業に重点を置いている。榊原家の膨大な資料、文書の管理を担当しており、榊神社(同市大手町)の雙輪館で観桜会に合わせた資料の展示会を開いている。郷土史フォーラムや榊原家文書を解読するための古文書研究会を実施。また、本年度は公益財団法人移行10周年記念として、6月25日にリージョンプラザ上越(同市下門前)で小和田哲男静岡大名誉教授による初代藩主、榊原康政の講演会を一般公開で行う。
育英事業は青少年健全育成、歴史文化研究という会の趣旨に合致する団体に助成金を交付しており、近年は高田剣道スポーツ少年団、上越武道連盟、頸城野郷土資料室が対象となっている。旧高田藩の墓地を引き継ぐ金谷山墓地の保全・管理も大きな事業の一つ。同じ金谷山にある旧薩摩藩(鹿児島県)、旧会津藩(福島県)の墓地の整備も行い、墓参の際には案内を務めている。
和親会は江戸時代の各藩にちなんだ団体の中でも活発に活動しており、同会の長谷川浩事務局長は「(旧将軍の)徳川家当主がうらやましがった」と話した。そして「榊原家にこだわって、歴史継承にちなんだ事業を行っていきたい」と、今後の活動について語った。
記事参照元:タイムスLite