地域活動支援事業のプレゼン 市職員と地域協議会の審査の違いは?

地域ににぎわいを呼ぶイベントや町づくり活動などを支える上越市の地域活動支援事業について、中川市長は来年度から廃止する方針です。ご存知でしたでしょうか?現在、各区の住民団体などが最後の事業として予算を獲得しようと、地域協議会でプレゼンテーションをはじめました。

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このプレゼン、これまでは地域協議会が自主的に審査していましたが、中川市長はその形を変え、市の職員が審査するとしました。ところが全部で28ある地域協議会のうち、市による審査を受け入れたのは9区に留まり、残りの3分の2、ほかの19区では従来通り、地域協議会による自主審査が行われています。市による審査と住民の自主審査と何が違うのでしょうか?2つのパターンを取材しました。

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旧上越市の和田区では5月27日、地域活動支援事業のプレゼンテーションで中川市長の方針どおり、市のまちづくりセンターの職員など9人が審査にあたりました。一方、これまで審査にあたってきた地域協議会の会長や副会長の姿はありませんでした。提案する住民側に緊張や不安はないか、参加者に尋ねると「地協と市職で違いというのは感じない、まぁ雰囲気は違うけど」と話していました。

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また審査員の一人を担った南部まちづくりセンターの滝澤竜大センター長は「基本的な審査ルールは地域協議会が決めたものを使う。正直初めてですので、公平公正な視点で審査したい。地域の活力向上の視点、広い視点で採点させていただく」と話していました。

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プレゼンでは620万円の予算枠に対し、11の事業案が示されました。それぞれ公益性や必要性など5つの項目で採点されますが、和田区の場合は『新幹線を活かしたまちづくりにつながるか』などが高く評価されます。提案者のひとり、上越妙高駅と共に歩む会の石平春彦会長は過去6年間、新幹線駅周辺でイベントを展開し、住民とともににぎわいづくりに汗をかいてきました。石平さんは「我々の活動はこれまで、ボランティアの域を超えていた。上越市の代わりにやっていたような事業ですので」と話していました。

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一方、事業の審査をこれまでの住民に代わって市の職員に委ねたのはなぜか?中川市長は『地域協議会は審査に時間をとられてきた、ほかにやるべき仕事がある』という考えです。市長はことし1月に地域協議会会長会議の場で「地域活動支援事業は地域分権を実現するためのツールとはいえない。地域協議会はこれまで以上に地域の課題に集中して議論を深めてほしい」とその狙いを説明した経緯があります。

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これに対し、石平さんは市長の考えにひとりの住民として「大いに疑問ですね。地域協議会は忙しい忙しいと言っているかもしれないが、これは非常に重要な審査。地協として自分たちの権利をいわば放棄していることになる」 複雑な思いを打ち明けていました。

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今年で最後となる地域活動支援事業。その審査をこれまで通り、地域協議会で行うのは全体の3分の2、19区にのぼります。そのひとつ5月30日に開かれた谷浜・桑取区の地域協議会では予算枠490万円に対し、山城の景観整備や里神楽の伝承活動など、6つの事業案が示されました。協議会の坪田剛会長は、地域を知っている人間同士の審査に意味があると話します。

坪田会長「市に審査を託すと、なかなかこの地区は謙虚な人が多いから、なんか遠慮している部分はいまだにある。市や行政相手は一歩後退したような感覚になる。地元で審査して初めて良い意見が出る。和やかな雰囲気の中で配算額を気持ちよく分け与えることができればと思っている」

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今回事業の審査を市に任せた和田区、住民自ら審査した谷浜・桑取地区。いずれにせよ事業は今年が最後です。坪田さんは「これまで通り地域活動支援事業をまだなだ継続してやりたいのが本音。協議会委員も一人ひとりがこの形でやってもらう方が活性化になると考えている」

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また石平さんは「住民みずから発意して地域自治のためにがんばる姿が断ち切られるのはどうなのか?大いに疑問。地域活動支援事業の中で育んできた市民や住民活動を続けさせてもらいたかった。本来、地域自治推進を標ぼうする市長として如何なものか」と話しています。

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中川市長は地域活動支援事業を廃止する代わりに、自治区ごとに独自予算を編成する考えで、市長選挙当時から「地域分権と堅苦しい言葉を付けたが、地域に力があればどんどん予算編成の力をあげて、良い事例が出てきたときにはきちんと表彰し、その地域を参考にしてほかの地域を活性化していく」と掲げています。

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自治区ごとの独自予算の編成にむけて、中川市長はそのもととなる地域づくりビジョンを地域協議会に提出するよう求めています。〆切は今年9月です。

記事参照元:上越妙高タウン情報

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