上越特別支援学校の田中悠雅さんが「ローラー式書見台」考案 上教大生が支援機器として複製

新潟県上越市山屋敷町の上越教育大学で2022年6月28日、学習支援に関する授業の一環で、特別支援学校に通う子供向けの支援機器として「ローラー式書見台」製作が行われた。誰でも簡単に角度調節ができるデザインで、県立上越特別支援学校の高等部2年生、田中悠雅さん(16)とその家族が考案したものだ。

学生らと授業に参加する田中さん(左から4人目)

田中さんが作った書見台は、木製の台の背面にマジックテープで取り付けた円柱型のパーツを転がすことで台の角度を変えられる仕組み。調節の段階がなく、さまざまな人や状況に自由に合わせられる機能性の高さが特長で、折り畳んで持ち運びもできる。

ローラー式で自由に角度調節できる書見台(右が田中さん作)

重度の脳性まひで体をうまく動かせず、車椅子で生活する田中さん。母親の真理枝さん(48)によると好奇心旺盛な性格で「できないことにネガティブになるのではなく、できることを何でも楽しむ天才」だという。

小学校低学年の頃、おもちゃの工具をもらったことをきっかけに工作に興味を持った。ダンボールでおもちゃを作るなど遊びの延長として楽しんでいたが、今では電動のドライバーやのこぎりを使い、自身の車椅子の高さに合わせた机や本棚など、身の回りの必需品を家族と一緒に手作りする。

書見台はタブレット置きとして業者から購入したものを使用していたが、学校と自宅で使い分けられるようにと、昨年の夏休みに製作。材料の買い出しに行った先に既製品と同じパーツがなく、父親の健太郎さん(43)が偶然見つけた円柱形の木材を代用した。

手作りの書見台を手にする田中さん

完成品を見た同校実習助手の広瀬政春さん(50)が、その仕組みに感銘を受け、支援機器作りに取り組む同大の「学習活動に困難のある子どもの教材づくり」の授業の課題にと提案し、複製品作りが実現した。学生13人が木材の面取りや組み立てに取り組み、田中さんもねじ止めなどを一緒に行って、一人一台完成させた。

自前の電動ドライバーを使って作業に参加した

授業に参加したことに「うれしい」と満面の笑みを浮かべた田中さん。今後は自宅にある「プロジェクターの角度を変えられる台を作りたい。頑張ります」と意気込んでいる。

完成品は同校をはじめ、田中さんが利用する福祉施設や県内外の特別支援学校に贈られる。広瀬さんは「使った人の意見や個々の子供たちに合わせて改良し、多くの人に使ってもらいたい」と話している。

記事参照元:上越タウンジャーナル

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