地域独自の予算 新年度は146件 新規事業は1割強にとどまる
上越市の中川市長が政策の大きな柱としている「地域独自の予算事業」は、新年度分が146件となり、そのうち9割ほどがこれまでにあったものの継続、新規は1割強にとどまったことがわかりました。市では新しい制度としては考えうる最善の案になったと話しています。
「地域独自の予算事業」は地域自治の仕組みを強化しようと、新年度から導入される制度です。これまで続けられてきた地域活動支援事業は廃止となります。初めてとなる予算案には146件の事業が盛り込まれました。これは今年度の地域活動支援事業、259件の半分程度となっています。
個々の事業は子ども見守りパトロールや高田本町商店街のお馬出しプロジェクト、中郷区の巡回タクシーツアーなどです。市役所全体の部局に渡っていて、最も多いのが自治・市民環境部で40件、次いで教育委員会が31件、産業観光交流部が24件などとなっています。
また、予算規模は今年度の地域活動支援事業がおよそ1億8000万円だったのに対し、新年度は9400万円あまりと半減しています。
こうした状況を踏まえ、14日に開かれた上越市議会総務常任委員会では委員から「地域自治を支える十分な制度と言えるのか」という声があがりました。
自治・地域振興課 田中秀明 課長
「今の時点でスタートする判断をした。考えうる最善の案になった」
市ではこれまで、地域独自の予算について2つの柱を掲げています。ひとつは新しい収益や雇用につながる取り組み。もうひとつは、地域づくりや住民同士の助け合いにつながる取り組みです。これについて委員会では、2本の柱それぞれの事業がどの程度あるのか説明を求めました。
自治・地域振興課 田中秀明 課長
「(2本の柱は)イメージを膨らませるもの。具体的には把握していない」
今回盛り込まれた独自予算146件のうち、9割ほどにあたる126件はこれまでの地域活動支援事業などを継続したものでした。新規事業は1割強にとどまっています。
中川市長はこの制度を設けるにあたり、地域のことは地域で決めて実行できる仕組みだと訴えてきました。これを踏まえて、委員からは地域の声が反映されているのかという声があがりました。
委員
「自治の仕組みは地域ごとに決めることが基本になる。(地域協議会と行政が)協議したことが決定にはつながらない」
自治・市民環境部
「(予算案づくり)まちづくりセンターや総合事務所が地域に入って一緒に練り上げた。(独自予算)しっかりと達成している」
このほか委員からは制度が変わることで、地域協議会のやる気や事業の数に影響がでないか心配する声もありました。
市では今後、よりよい制度を目指し見直していく方針です。
小田副市長
「地域協議会と地域団体・住民が話せる機会を設けていきたい」
地域独自の予算事業の一部(自治・地域振興課、共生まちづくり課 ) ※()は予算額、千円
■各年齢層のつながりや居場所になるように取り組む交流促進事業(高田区)(511)
地域における交流やつながりを深め、地域の活性化に資するため、誰でも集える居 場所を設け、お茶の間事業、フリーマーケット、世代間交流、畑作業等を行う。 実施主体:誰でも集える場所 じくの家
■誰もが気軽に集える居場所事業(高田区)(226)
人と人、人と社会がつながり支え合う活気ある地域づくりを図り、地域の活性化に 資するため、誰もが気軽に集える居場所を設け、コミュニケーションの場の提供、手 芸や工作といった創作活動等を行う。 実施主体:特定非営利活動法人 かたばみの家
■稲田きずなフェスティバル(新道区)(1,029)
住民が主体的に地域づくりを考え、達成感を見出せるよう、河川敷のごみ拾い等の クリーン活動や地域イベント「稲田きずなフェスティバル」を実施する。 実施主体:稲田むすぶプロジェクト
■滝寺自然公園整備と環境保全・保護活動事業(金谷区)(230)
地域の自然環境や歴史・文化の維持・保全活動を通じて、住民間の交流を図るため、 愛の風公園や毘沙門堂周辺等の環境整備を行う。 実施主体:滝寺まちづくり協議会
■金谷若者まちづくり参画事業(金谷区)(1,229)
金谷区に住む若い世代の交流促進や、地域の観光資源である金谷山公園、南葉高原 キャンプ場の利用促進のため、ニジマス釣りのイベントや、フリーマーケットを中心 とした金谷山フェスを実施する。 実施主体:上越若者みらい会議
■ミニ新聞「まめでやったけぇ」発行継続および活用によるきずな拡大事業(金谷区)(93)
中ノ俣の住民同士や地域外の方との交流促進、生きがいの創出のため、住民の思い や地域の情報を共有する新聞を作成、頒布するとともに新聞の読書会を実施する。 実施主体:「まめ」新聞 有志会
■いきいき春日野ふれ合いコンサート事業(春日区)(180)
地域住民によるまちづくり活動を進めるため、地域と地域、学校と学校の交流イベ ントである「いきいき春日野ふれ合いコンサート」等を実施する。 実施主体:いきいき春日野ふれ合いコンサート実行委員会
■“明日の上越・諏訪を創る会”未楽来すわ事業(諏訪区)(511)
地域の魅力と環境のすばらしさを発信するため、地域の宝である、はさ木や桜の保 全活動等を実施する。 実施主体:未楽来すわ
■諏訪の里づくり協議会事業(諏訪区)(1,481)
住民の融和と連帯感を図るため、夏祭り等のイベントや住民参加の各種教室、ホー ムページによる地域情報の発信に取り組む。 実施主体:諏訪の里づくり協議会
■津有区パンフレット作成及び活用事業(津有区)(721)
住民に地域の良さを知ってもらい活性化につなげるため、地域の歴史や偉人、見ど ころなどをまとめて紹介するパンフレットを作成するとともに、住民対象のウォーキ ングイベント等を実施する。 実施主体:市(提案団体:津有区地域協議会)
■さんごう仲間づくり事業(三郷区)(93)
地域住民の交流促進や健康づくりの推進のため、地域ボランティアと小学生による 雑巾プロジェクト、新聞発行、フリーマーケット、料理講座及び正月花飾り講座を実 施する。 実施主体:ENJOY35
■地区だより「たかし」発行事業(高士区)(192)
住民の地域活動への関心を高めるため、地域の各種団体等の活動紹介や情報発信を 行う地区だよりを毎月発行する。 実施主体:高士地区振興協議会
■ふるさと高士まつり開催事業(高士区)(382)
地域のにぎわいを創出し、まちづくりや活性化を図るため、子どもから高齢者まで 多くの住民が一堂に会して交流する「ふるさと高士まつり」を行う。 実施主体:高士地区振興協議会
■直江津のグランドデザインを描く事業(直江津区)(655)
共に考え、主体的に活動し、取組を通じて地域に貢献するプレーヤーを増やし、自分たちのまちを自分たちの手で良くしていくことで躍動する直江津を創っていくため、 「三八朝市の存続、活性化、利用促進等」「屋台会館の利活用」の2つの課題について、 ワークショップ等を通じて検討する。 実施主体:直江津プライド 2021
■福永十三郎顕彰・四十物祭事業(直江津区)(680)
直江津の歴史的な偉人「福永十三郎翁」の遺徳を偲ぶとともに、三八朝市や北前船 日本遺産展示との連携を図りながら、自分たちのまちに興味を持ち、まちを考え、次代に継承していくため、四十物(あいもの)祭を開催する。 実施主体:まちおこし直江津
■やちほ文化展はまぐみ市事業(八千浦区)(331)
地域住民の交流、にぎわいの創出を図るため、住民の創作活動の発表と地域文化の 再発見を目指す「やちほ文化展」と地域特産品や農産物等のPRを行う「はまぐみ市」 (フリーマーケット)を開催する。 実施主体:八千浦地区明るい町づくり協議会
■八千浦地区活性化・青少年育成事業「八千浦地区海まつり」(八千浦区)(1,008)
地域住民の融和や将来を担う次世代の郷土愛の醸成と協働の精神を培うため、住民 と小・中学生、保護者が、ステージ発表など様々な活動を通して触れ合い、海に親し む「海まつり」を開催する。 実施主体:海まつり実行委員会
■北諏訪区地域の魅力PR事業(北諏訪区)(145)
地域の一体感の醸成とともにまちづくり活動への地域住民の参画を図るため、北諏 訪地域の魅力となる歴史・文化行事などを情報収集し、広く周知する。 実施主体:北諏訪まちづくり振興会
■地域探訪ウォーキング事業(北諏訪区)(40)
北諏訪区の自然や歴史に恵まれた環境を知ってもらうことにより、地域への愛着を 醸成するとともに、世代を超えた住民の融和と健康を促進するため、高齢者や親子も 参加できる自然観察・歴史探訪を兼ねたウォーキングを実施する。 実施主体:北諏訪まちづくり振興会
■地域コミュニティ活性化事業(北諏訪区)(371)
北諏訪地域の活性化や地域住民の交流・親睦を図るため、3年ぶりに開催する地域の お祭り「第 27 回まつりっちin北諏訪」の企画・運営を地域全体で取り組む。 実施主体:北諏訪まちづくり振興会
■あぜ道ほたる・夢灯りinほたるの里事業(大島区)(550)
地域住民が地域行事に参加して交流する(関わる)ことで、地域コミュニティの衰 退を防ぐとともに関係人口の増加につなげるため、「あぜ道ほたる・夢灯り」及び「“自 然よ輝け、ほたるの光で”音楽ライブ」を実施する。 実施主体:大島地区振興協議会
■つながりと地域愛を育む情報発信事業(牧区)(306)
区内でのつながりと関係人口の増加につなげるため、NPO法人牧振興会のホーム ページやインスタグラムを活用し、牧区の暮らしや若い世代の活動を発信する。 実施主体:特定非営利活動法人 牧振興会
■黒川黒岩ふれあい事業(柿崎区)(1,266)
地域住民と出身者との交流促進、相互が一体となり地域を支え守ろうとする地域コミュニティの醸成を図るため、旧黒川小学校跡地の環境美化、米山古道の散策と遺跡 めぐり、黒川黒岩ふれあいまつり等の事業を実施する。 実施主体:16 ピース
■柿崎時代夏まつり「下黒川地区夏まつり」事業(柿崎区)(1,266)
地域の一体感や郷土愛を醸成するため、郷土の伝統芸能「十三夜」の伝承に向けた 講習会や下黒川地区夏まつりを開催する。 実施主体:柿崎時代夏まつり「下黒川地区夏まつり」実行委員会
■ふるさとの宝を保存し、後世に歴史的意義を伝える事業(頸城区)(1,156)
「住みたい、訪れたい」まち頸城区の実現に向け交流人口の増加を図るため、旧頸 城鉄道の車両を動態保存し、定期的に一般公開を実施する。また、開園 20 周年記念事 業を実施する。 実施主体:特定非営利活動法人 くびきのお宝のこす会、市 (提案団体:特定非営利活動法人 くびきのお宝のこす会)
■つなげるコミュニティ区内巡回ツアー運営事業(中郷区)(2,096)
コミュニティづくり、生きがいづくり、子どもの居場所づくりなどにつながる活動 を促すとともに、将来的な乗合タクシーの利用増や利便性の向上にもつなげるため、 貸切タクシーを使った区内巡回ツアーを企画運営し、いつまでも住み続けたい地域づくりを目指す。 実施主体:市(提案団体:中郷区地域協議会)
■第5回二本木駅鉄道まつり(中郷区)(3,209) 郷土愛の醸成や地域の一体感の醸成を図るとともに、交流人口の増加に寄与するた め、第 5 回二本木駅鉄道まつりを開催して地域の宝である「二本木駅」をPRする。 実施主体:中郷商工会
■板倉区のゆるキャラ「いたくらけいと」PR事業(板倉区)(306)
地域への愛着を高めるとともに板倉区の魅力を発信するため、板倉まちづくり振興 会の車両等に地域のキャラクター「いたくらけいと」をラッピングし、話題性や認知 度の向上を図る。 実施主体:特定非営利活動法人 板倉まちづくり振興会
■筒方地区活性化事業(板倉区)(404)
地域におけるそば打ち技術の伝承や、地域の魅力向上とPRを図るため、そば打ち 職人養成事業やフォトコンテストを実施する。 実施主体:どうがた倶楽部、一般財団法人 ゑしんの里観光公社
■坊ヶ池交流施設運営管理事業(清里区)(4,426)
繰り返し清里を訪れてもらう交流人口を増やし、地域活性化を図るため、休止中の 山荘京ヶ岳をいかして、住民が土日祝日にカフェ(ビュー京ヶ岳)営業をするほか、 公民館講座のフィールドワークの拠点や芸術作品の発表の場等としても活用を促す。 実施主体:一般社団法人 櫛池農業振興会、市 (提案団体:一般社団法人 櫛池農業振興会)
■地域交流促進事業(清里区)(100)
清里区特有の自然や文化などの地域資源を地域内外の人に知ってもらい、幾度も訪 ねていただけるよう、史跡探訪やブナの森ハイキングなどを実施する。 実施主体:きよさと観光交流協会
記事参照元:上越妙高タウン情報