上越市の保倉川放水路約3kmのルート図公表 計画公表から27年 事業本格化へ

国交省高田河川国道事務所は2023年12月8日、治水対策として上越市の保倉川の水を日本海に放流する保倉川放水路の具体的なルート図を公表した。関川水系に甚大な被害をもたらした1995年の7・11水害を受け、翌1996年に国が建設計画を示してから27年。今後、建設にむけた検討が本格化する。

公表された保倉川放水路のルート図。上が日本海(関川流域委員会配布資料より)

同日開かれた関川水系の治水対策を検討する有識者会議「関川流域委員会」で、関川水系河川整備計画の変更原案として示した。ルート図によると、保倉川放水路は頸城区下三分一から県営南部産業団地東端を通り、上越火力発電所付近の夷浜で日本海に出る。延長は約3km、実際に通水する水面幅は110〜115mで両岸に各約10mの護岸施設などがあり、面積は約50ha。事業費は約1300億円を見込む。同事務所によると、ルート図内には約170軒の建物(居住実態は未確認)があるという。

放水路ルートと航空写真(同)

放水路整備を盛り込んだ河川整備計画の変更は年度内を予定している。同事務所は12月13日からホームページで住民からの意見を募るほか、1月に住民説明会を6会場で開催する。

放水路整備は、地域の分断や家屋移転などへの懸念から地元の強い反対があり、長期間計画は進まなかったが、地元の理解が進み2021年に概略ルートが決定していた。

保倉川放水路のルート図が公表された関川流域委員会(2023年12月8日)

同事務所の桶川勝功副所長は「委員や関係機関、地域のご理解を受け、ようやくルートを公表できた。災害は待ってはくれないのでスピード感を持って放水路事業を進めていきたい。これから住民の皆さんの意見をもらいながら事業の熟度を上げていきたい」と話した。

中川幹太市長は「放水路の平面図などが示され、今後、事業化に向けて加速していくものと期待している。市としても地域の皆様と丁寧に話し合いを重ねながら、早期実現に向けて取り組んでいきたい」とのコメントを発表した。

▽12月8日開催の第25回関川流域委員会の配布資料はこちら(高田河川国道事務所HP)。

*記事公開後、ルート図内の建物数が公表されたため付け加えました。


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記事参照元:上越タウンジャーナル

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