保倉川放水路 早期完成を 能登半島地震受け津波対策で質問も 流域住民対象に説明会

カルチャーセンターで開かれた住民説明会。出席者からは1日に発生した地震に関連した保倉川放水路の津波被害への対策のほか、計画の長期化から早期完成を求める声が上がった

国土交通省高田河川国道事務所は23日まで、「関川水系河川整備計画」の変更原案について、流域住民を対象とした説明会を開いている。住民からは一刻も早い保倉川放水路整備を求める声のほか、1日に発生した能登半島地震を受け津波対策でも質問が寄せられた。

国土交通省は昨年3月、近年の気候変動を踏まえ関川水系の河川整備基本方針を見直し、関川、保倉川のピーク時流量を引き上げた。河川整備計画の変更は基本方針の見直しを受けたもので、保倉川放水路のルートや整備期間、流域全体で洪水を防ぐ「流域治水」の取り組みなどが含まれる。

19日夜、上越市春日新田2のカルチャーセンターで開かれた説明会では、初めに関川、保倉川の地震被害について報告された。関川河口右岸0・4キロ地点と右岸1・8キロ地点で堤防、通路などに損傷があり、前者は応急復旧、後者は本復旧が完了。現在は津波の痕跡や河床の測量などの調査、被災地支援として備蓄飲料水やブルーシートの提供、職員の派遣などを行っている。

説明後、住民からは「洪水被害も恐ろしいが、地震、津波対策にも力を入れてほしい」との声が上がった。事務所からは「数百年から1000年に1度規模の地震が関川近くの断層で発生した場合、津波の想定もしている」としながらも、「ハード面の対策のみでは限界がある。今回の地震は想定にないもので、調査を行って対策に盛り込む必要がある。すぐに避難できるなど、総合的な対策も必要になる」との見解を示した。

このほか、同日までに開いた説明会に数人から十数人しか参加していない現状に憤る出席者もいて、説明会の周知をさらに徹底するよう求めた。別の出席者は、「一刻も早い完成を求めることで、住民の意思は一致しているので説明会を必要としていないのでは。計画までに30年、工事でさらに30年と、これ以上長期化しないよう、安全性や環境に配慮しながら、早期完成を目指してほしい」と求めていた。

今後の説明会は21日にオーレンプラザ、23日に妙高市勤労者研修センターで開かれるほか、31日まで計画に関する意見も募集している。

記事参照元:上越タイムス電子版