故郷で生きた証し地図に 昭和20年代~令和まで「安塚の町並」完成 日下部さん夫妻5年かけ作成
安塚区安塚の日下部進さん(83)、修子さん(同)夫妻は同町内の変遷を示した地図「安塚の町並」を完成させた。昭和20年代から令和の現在まで、年代ごとに10枚の地図を作成。道路や学校、事業所や役場などが町並みを形成していった様子が見て取れる。町内の寺社にも奉納し、進さんは「100年後の皆さんへのプレゼントができた」と達成感をにじませている。
夫妻は1940(昭和15)年生まれ。共に村立安塚小、町立安塚中を卒業した後に結婚し、以来同地で暮らしている。
進さんは建具業をなりわいとする傍ら、町議や市議、町内会長などさまざまな役を務めた。時間に余裕ができ始めた頃、この地で生きた証しを自分史ならぬ町並み史として書き残そうと思い立ち、修子さんと町並み図の製作に取りかかった。
作業は現在の住宅地図を原型とし、2人で記憶と記録をたどりながら書き込みを加えたり、過去にさかのぼるにつれ、今はない道路や建造物は地図から「引き算」したりしていった。住宅は昔の屋号で表記。併せて、その時代に起きた出来事なども記した。
地図の大きさは1枚が横60センチ、縦90センチ。大きいため、コピーは信越青写真(上越市石橋1)に協力を依頼。加筆のたびに何度も通った。地道な作業を続け、5年がかりで完成にこぎ着けた。
進さんは「自動車が普及した昭和40年代から町並みに大きな変化が見られる」と語る。修子さんは「かつて直峰城の城下町として栄えた名残が感じられる」としみじみ話す。
地図は町内にある安塚神社、添景寺、賞泉寺に寄進。「100年後の安塚の皆様へ 2024年からの贈り物」と表書きした封書と共に、後世への資料として託した。地図を納める箱は手製。箱書きは友人がしたためた。
地図のお披露目は、まずは完成を心待ちにしていた仲間内で行われる予定。その後は町内住民に向けて披露したいと話す。進さんは「昔のことは、きのうのことのように思い出せる。町の歩みを振り返りながら、思い出話に花を咲かせたい」と笑顔で話した。
記事参照元:上越タイムス電子版