20年ぶり“試験勉強”OK 上越市立高田図書館 過去に中高生殺到で禁止
新潟県上越市本城町の市立高田図書館は2023年4月から、会議室を自習室として開放している。自習スペースの設置は約20年ぶり。かつて同館には自習できる学習席があったが、試験勉強などで中高生が殺到し、一般利用者からの苦情を受けて廃止された経緯があった。
「本を読む場所がない」と苦情
1994年7月に開館した高田図書館には200席の閲覧席があり、大半が学習席として自習利用も可能だった。同館周辺は高校や中学校が集中していることから試験勉強などで中高生が殺到。一般利用者からは「座って本を読む場所がない」などの苦情が寄せられた。定期テスト前や休日、夏休みなどの長期休業中には、開館と同時に席取りをし、途中、昼食に出かけて戻り、終日独占するなどのマナー違反もあったという。
約20年間自習スペースなし
このため同館は2003年7月、「図書館は図書を利用するための施設であり、席を使った学習は本質的な機能ではない」として学習席を廃止し、全て閲覧席に変更して中高生らの自習利用を禁止した。会議室は会合などで市民に貸し出しているため開放はせず、以後約20年間、同館に自習スペースはなかった。
勉強場所を求める中高生は、近年はミュゼ雪小町(本町5)や高田城址公園オーレンプラザ(本城町)の交流スペースのほか、ショッピングセンターのフードコートなどを利用していた。
学生ワークショップや市議会で開設要望
昨年、同市内の高校生や専門学校生、大学生など21人が参加して開かれた上越市主催の「学生まちづくりワークショップ」や上越市議会で公共の自習室開設を求める声が上がり、同館が会議室の空き時間を活用した自習室設置を決めた。
5月9日の夕方、自習室を利用していた県立高田北城高校の1年生の男子生徒(16)は「たまたま図書館に来たら張り紙があったので、中間テストの数学の勉強をすることにした。自習室はいいと思う」と話していた。
開放日時はSNSで発信
自習室として開放しているのは第1会議室(定員15人)で、開館中(10〜5月午前10時〜午後7時、6〜9月午前10時〜午後8時、土日曜祝日は午後6時まで)の会合などの利用予約のない時のみ。第1会議室の席が不足する場合には隣の第2会議室(定員10人)も開放する。
利用は無料で、中高生に限らず誰でも利用できる。先着順で予約は必要ない。利用申し込み書を事務室に提出し、「利用許可カード」を受け取る。食事は禁止で、水分補給のみ可能。荷物を置いたままの席取りも禁止。時間制限はないが、今後の利用状況によっては時間制や申し込み制なども検討するという。
開放日時は、市立図書館のホームページや市の公式LINE、Twitterに3週間分の予定を1週間ごとに更新しながら掲載するほか、館内にも掲示している。
記事参照元:上越タウンジャーナル