事業費7年で50億円 観光客1.3倍目標  上越市の通年観光計画案に厳しい意見 「今までと一緒」「市長のビジョンない」

新潟県上越市は2023年11月15日、中川幹太市長が看板公約として策定を進めている通年観光計画の中間とりまとめ案を、市議会通年・広域観光推進特別委員会に報告した。市は高田、直江津、春日山を重点地域として2024年度から2030年度まで7年間の計画の素案を示したが、議員からは「市長のビジョンがない」「今までと変わらない」など厳しい声が相次いだ。

事業費7年間で50億円

具体的な数値目標として、2030年度の観光客数を2019年度比1.3倍とするとした。事業費は現状2024年度から2030年度までの7年間で50億円を見込んでいる。

3つの重点地域のコンセプト

全体コンセプトには「越後の都 誇れる上越の3つの暮らしと心意気」を掲げ、春日山・直江津・高田を重点地域として滞在交流型の観光地域づくりを目指すとしている。3つの重点地域のコンセプトは次の通り。

  • 春日山:義の心と強さに出会う「謙信公の春日山城」
  • 直江津:歴史と人情の「日本海うみまち」
  • 高田:雁木でつながる「花咲く共助の城下町」

具体的な取り組みとしては、春日山では飲食・物産などの観光拠点施設の整備、直江津ではレールパークの鉄道遺産としての整備保全、高田ではまちづくり組織の検討、高田城枡形門の復元的整備の可能性調査研究などを記載している。このほか、全体にレンタサイクルなどを活用したエリア内回遊、空き家や古民家などを活用した店舗・宿泊施設の民間開発などもある。

20231115通年観光計画委員会資料PDF

20231115通年観光計画中間とりまとめPDF

「想像の付く内容でがっかり」「市長のビジョンない」

通年観光計画は中川市長の看板公約であることから、議員からは「がっかりした。観光はずっとやってきているし、これでは今までと一緒。市長がこれでいいと言ったというのも不思議だ」「想像が付く内容で楽しみな感じがしない。市長の強力な牽引力が感じられない」「市長のビジョンがどう反映されているのか分からない」などといった意見が相次いだ。「企画会社が入ったので良くまとまってはいるが、中身はスカスカ」「観光客の目標が低い。少なくとも1.5倍以上だ」などといった意見もあった。

議員からは厳しい意見が相次いだ

また、現時点の概算で50億円という事業費の財源についても議論があった。議員からは「7年で50億円、1年7億円で足りるのか。通年観光を本気でやるというなら50億円では無理」といった意見の一方、「学校や保育園、道路、下水道などやらなければならない事業に影響のないようにしてほしい」という声もあった。

来年1月に最終案提示

市は今後、議会からの意見などを踏まえ来年1月に最終案を提示し、1月下旬からパブリックコメントを実施し、年度内の計画策定を目指している。

同市の通年観光計画をめぐっては市と受託業者が選定前から近密な関係にあったことなどが問題となっており、受託業者が当初の予定通りに関与しているかについての質問もあった。

記事参照元:上越タウンジャーナル

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