旧酢屋の内蔵解体 国登録有形文化財 能登半島地震で被害

解体作業が進む内蔵(左側)を見る保坂さん

上越市中央3の国登録有形文化財、旧酢屋呉服店は1月1日の能登半島地震で大きな被害を受けた。直江津の町屋に特徴的な建物内の土蔵、内蔵(うちくら)の壁が崩落、現在、内蔵の解体作業を行っている。

建物の主屋は直江津で起こった大火後の明治41年の築で、その火災をくぐり抜けた内蔵は同4年に建てられている。呉服屋や酢屋として使われ、6年前に保坂清美さん(60)が取得。所属するまちおこし直江津のイベントなどの会場となり、経営する保坂工務店、リアルエステイトZestの本社として活用している。一昨年に店舗兼主屋と土蔵としてそれぞれ国登録有形文化財に登録された。

保坂さんが地震発生翌日の1月2日に自宅周辺の片付けを終えて様子を見に行くと、内蔵の壁が崩れ、蔵を覆う雨屋の壁を破って隣家の庭に落ちそうな場所もあった。地震発生時に避難する近所の住民が、建物から土煙が上がるのを見たという。

大火が多かった直江津では、建物の中に家財を守る蔵が建てられることが多く、保坂さんは直江津らしさとして愛着を持っている。それだけに「蔵が壊れたのがショック」と話すが、余震の可能性も残す中、危険防止のため苦渋の決断。「能登半島の人のことを思うと、くじけてはいられない」と思いを話した。

主屋については内蔵の解体を見ながら考えるという。旧酢屋で飾られていたひな人形は、同市西本町3の直江津ショッピングセンターエルマールで展示されている。

内蔵の被害の様子(保坂さん提供)

記事参照元:タイムスLite