紫式部の父は越後でどんな暮らしをしていた?NHK大河「光る君へ」で岸谷五朗さん演じる藤原為時、ゆかりの新潟上越市で企画展 国府サミットや講演会も計画
放映中のNHK大河ドラマ「光る君へ」の主人公、紫式部の父で越後国司を務めた藤原為時をテーマにした企画展が、新潟県上越市埋蔵文化財センター(春日山町1)で開かれている。平安時代に越後の国府は上越地域に置かれ、為時も居住していたとされる。市教育委員会は今後も講演会などの関連イベントを予定しており、為時とのゆかりを観光誘客につなげたい考えだ。
藤原為時は平安時代中期の貴族で歌人としても知られる。官職に恵まれない時期もあったが、1011年に越後国司に就き、14年まで務めた。「光る君へ」では、俳優の岸谷五朗さんが演じている。
平安時代の文書「和名(わみょう)類聚(るいじゅう)抄」にも記されている通り、越後国の国府は、平城京や平安京に近い立地などから現在の上越地域に当たる頸城郡に置かれていた。正確な所在地は確定していないが、奈良・平安時代の陶器などが多く出土している子安遺跡(上越市子安)や今池遺跡(上越市今池)が有力な候補地とされている。
企画展では、この両遺跡の出土品を中心に為時の時代の国府の様子を紹介している。発掘した平安時代の土師(はじ)器や、国司らが正装として身に着けていた石帯などを並べている。
「朝夕の2食が一般的だった」といった食事事情やメニュー、国司の生活を解説したパネルも掲示。為時の経歴や家系図も説明している。
名古屋市から訪れた会社員(51)は「為時と上越に関わりがあること自体知らなかった。越後の国司まで出世していたんですね」と驚いていた。
企画展を開催している上越市教育委員会は11月、かつて越(こし)の国と呼ばれていた新潟県と富山、石川、福井各県の国府所在自治体が参加する「こしのくに国府サミット」を上越市内で開催する予定だ。研究者を招いての講演会も計画している。
為時は越後の前に越前(今の福井県)国司も務めており、越前越後での足跡のほか、紫式部ら家族との暮らしぶりなどが語られる見込み。市民向け講座で為時の人となりなどを取り上げる予定もある。
一連の催しを企画した市教委の湯尾(ゆお)和広学芸員(46)は「これまで知名度が低かった為時だが、今年は大河ドラマによりスポットが当たっている。為時とのゆかりを知ってもらい、多くの歴史ファンに上越を訪れてもらえるとうれしい」と話している。
記事参照元:新潟日報デジタルプラス