NPOスゲ細工保存会 活動困難で解散 今後は個人で制作継続

スゲ細工の技術を引き継いできたNPO法人「平丸スゲ細工保存会」が、メンバーの家庭の事情などによって活動を続けるのが難しくなり今月5日に解散しました。代表を務めた柴野美佐代さんは、今後スゲ細工づくりを個人事業として続けながら、干支以外も作るなどして伝統を新しい形で伝えていきたいと前を向いています。

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妙高市平丸地区のスゲ細工は、乾燥させたスゲの葉を干支の形に編み上げたもので、妙高市の無形文化財に指定されています。農作業ができない冬の収入源として66年前の昭和33年から作られてきました。しかし作り手の高齢化と担い手不足を受け、9年前の平成27年、柴野さんがNPO法人「平丸スゲ細工保存会」を設立して技術を引き継ぎました。

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スゲの刈り取りから製造、販売までをしたほか、市内外で体験講習会や地域のこし協力隊の活動などを通じて技術を広め、担い手の育成に努めてきました。

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また技術を大切にしながら、アレンジを加えてきました。

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例えば今年の干支「辰」は、ヒゲや爪を加えたほか、体の向きを横から上向きにして縁起のいい「昇り竜」にしました。

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また「戌」は細身から柴犬のようにふっくらとした毛並みを表現してかわいらしさを強調しました。

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柴野美佐代さん
「(常連)見なくても、うちの商品なら大丈夫と注文してくれる。届けた時に『来年もよろしくね』と言われる。これまでやってきた技術に自信がついている」

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しかし、メンバーの減少や家庭の事情、さらに資金の不足などで活動を続けることが難しくなり、今月5日に解散しました。10年目の苦渋の決断でした。

柴野美佐代さん
「理由はスタッフの家庭事情、健康状態、人手が足りない。赤字が続いていたなかで(決断)」

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今後はNPOの元メンバー1人と2人体制で、スゲ細工づくりを続けることにしています。いまは来年の巳年に向けたヘビを作っています。

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柴野美佐代さん
「なるべく残していきたいので写真も映像も残してある。次の世代に伝えたい思いがある」

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柴野さんは今後、スゲ細工の作り方を分かりやすくまとめて技術を広めたいとしています。また干支以外にも地域ゆかりの「上杉謙信」や目の不自由な女旅芸人「ごぜ」をスゲ細工で作り、新たな魅力を伝えたいと意気込んでいます。

記事参照元:上越妙高タウン情報