上越市が新潟県初の不登校の中学生対象「学びの多様化学校」 閉校する諏訪小に2026年度開校目指す

新潟県上越市は不登校の中学生を対象とした「学びの多様化学校(不登校特例校)」を設置する方針だ。本年度末で閉校する市立諏訪小(同市上真砂)の校舎を使い、2026年4月の開校を目指す。多様化学校は全国で公私立合わせて35校あるが本県にはなく、設置されれば県内初となる。

上越市が「学びの多様化学校」の設置を目指す市立諏訪小

 

2024年12月5日に開かれた上越市議会文教経済常任委員会所管事務調査で、同市教育委員会が説明した。

学びの多様化学校は、学習指導要領にとらわれず、不登校の児童生徒の実態に配慮した授業時間や指導内容を柔軟に決定できる文部科学大臣指定の学校。市教委によると、2023年度に市立小中で30日以上欠席した不登校の児童生徒は小学生140人、中学生264人の計404人で共に過去最多となり、本年度に専門家やPTAなどの委員で構成する検討委員会を設置し、子どもたちの「学びの場」の確保について検討していた。

「学びの多様化学校」の設置について市教委が説明した上越市議会文教経済常任委員会

 

設置候補地の諏訪小は、校舎の築年数や市内全域から通学するための立地、周辺環境などを検討して市教委が決めた。諏訪小を校区とする市立雄志中の分校として設置し、受け入れ人数は対応が可能な1学年6〜8人程度、教員は管理職1人を含む7人程度を見込む。先進事例にある分教室よりも教員が手厚く配置され、独立学校よりも開校までの期間が短い分校を選択した。市教委によると、入学者の選考は生徒一人一人の状況や特性が合っているかなど市教委が慎重に審査し、体験入学も実施して決定するという。

3月定例市議会に設置に向けた条例改正などの関連議案を提案し、2025年度に文部科学省に設置を申請する。トイレの改修などの施設整備も行うほか、保護者説明会や見学会も実施する。カリキュラムは外部の有識者の指導や助言を受けながら策定する。

また不登校生徒の学びの場や居場所などの情報を提供する教育センターの相談機能の併設も検討するほか、開校後に老朽化している諏訪地区公民館の校舎内への移転も検討する予定。

市教委は多様化学校の設置は、不登校の生徒の学習環境として、校外での教育支援室やフリースクールなどこれまでの支援以外に新たな選択肢を提供できるとしている。

早川義裕教育長は「子どもたちが様々な背景や困難を抱える中で、今の学校制度がマッチしなくなってきている。子どもたちを学校教育に合わせるのではなくて、学校教育を子どもたちに合わせるのが多様化学校。通いやすい、生きがいを感じられる学校にしたい」と述べた。


「学びの多様化学校」設置候補地の市立諏訪小

記事参照元:上越タウンジャーナル