資源エネ庁が上越市で原発再稼働に関する説明会 再稼働の是非問う県民投票目指す署名活動も
東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働について、新潟県民に理解を求めるための資源エネルギー庁による説明会が2024年12月22日、新潟県上越市土橋の市民プラザで開かれた。エネ庁の説明に対し、出席者からは事故時の避難の実効性を不安視するなど再稼働に批判的な声が相次いだ。説明会の前には同じ市民プラザ内で、再稼働の是非を問う県民投票の実施を目指す市民団体による街頭署名も行われた。
説明会は再稼働への地元理解に向け、9月の原子力関係閣僚会議で決まった取り組み。7〜8月にも県が主催し原子力規制庁や内閣府、同庁が出席する説明会が、上越市など原発から半径5〜30km圏内の避難準備区域(UPZ)の7市町で開かれた。今回の説明会は原発が立地する柏崎市と刈羽村を除く県内全28市町村を対象に12月10日から順次開催されている。
上越市での説明会には20人あまりが参加した。エネ庁の担当者が東日本の電力供給の約8割が火力発電に依存し脆弱(ぜいじゃく)な構造であることや、データセンターや半導体工場の新増設などで今後電力需要の増加が見込まれること、原発の再稼働が進んでいない東日本は西日本に比べて電気料金が平均で2〜3割程度高く東西格差が生じていることなどを説明。電力の安定供給を確保するために柏崎刈羽原発の再稼働の必要性を訴えた。
参加者からの質疑は予定していた50分から約1時間半延長して行われ、「説明会や資料が再稼働ありきになっている」「再稼働して電気は東京に行き、新潟に危険ばかりで利点はあるのか」「避難すると言っても、地震で道路が寸断されたら避難できないことが能登半島地震で明らかだ」などの意見が出た。
再稼働是非問う県民投票目指す署名活動も
エネ庁の説明会の前には、再稼働に反対の立場で活動し、是非を問う県民投票の実施を目指す「柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会」が同じ市民プラザ内で街頭署名活動を行った。
県民投票条例の制定を花角英世知事に直接請求するには、2か月で県内有権者の50分の1に当たる約3万6400人分(9月1日現在)の有効署名が必要で、同会によると、12月19日午前時点の署名数は7万4545筆となり、必要数に達している。同会は12月28日までの期間に20万筆を目標に掲げている。
署名をした妙高市の女性(70)は「署名活動をしていることを知らなかった。電気は必要だが、原発は安全なんだろうかと思う」と話した。
この日は3時間の街頭署名で34筆が集まった。県民投票で決める会・上越代表の片岡豊さんは「再稼働に賛成の人も自らの意思を示すことが大事」と署名を呼び掛けた。
記事参照元:上越タウンジャーナル