【動画】上越市が新年度予算案発表 一般会計は微増の1025億6775万円 地域医療体制の確保と防災に重点
新潟県上越市は2025年2月18日、2025年度の当初予算案を発表した。一般会計の総額は1025億6775万円で、本年度当初予算より2億4871万円(0.2%)の微増となった。予算規模が1000億円を超えるのは2年連続。中川幹太市長にとっては1期目の任期最後の予算編成で、経営危機にあるJA新潟厚生連上越総合病院への支援やなおえつ海水浴場の津波避難路整備など「優先して取り組むべき課題である地域医療体制の確保と災害に強いまちづくりへの対応に意を用いた」と述べた。
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一般会計の増額は、上越斎場や金谷地区公民館の整備完了で普通建設事業費が減少した一方、児童手当の制度拡充の通年化などに伴う扶助費の増加のほか、委託料や賃借料などの物件費、人件費が増加したことによる。国の補正予算を活用した本年度補正予算と2025年度の実質予算額を合算した実質予算規模は1025億3290万円で、2024年度に比べて15億589万円(1.5%)増加した。
歳入では、市税は国の定額減税の終了や大手製造業などの法人市民税の増加などで14億4082万円(4.7%)増の319億629万円、普通交付税は9億7700万円(4.5%)増の227億7500万円。収支の均衡を図るため、市の貯金にあたる財政調整基金から7億5000万円を取り崩し、2025年度当初予算で基金残高は42億9322万円を見込む。
上越総合病院に緊急支援6100万円
中川市長が重点に挙げた地域医療体制の確保は、経営危機にあるJA新潟厚生連が運営する上越総合病院に対し、緊急支援(6100万円)を含む運営支援(1億8382万円)を盛り込んだ。建て替えを延期した上越地域医療センター病院は、2026年3月末に閉院する新潟労災病院から歯科口腔外科を受け入れるための改修以外に、空調の更新など院内環境整備費用(5000万円)、経営改善に向けた経営分析と収支改善策のコンサル委託料(1036万円)を計上した。看護師確保のため上越看護専門学校の運営を支援(224万円)する。
なおえつ海水浴場に津波避難路
防災対策では能登半島地震で津波被害を受けたなおえつ海水浴場に津波避難路を整備する(3264万円)ほか、トイレカーや簡易ベッドなど避難所の環境向上(補正予算含み4997万円)を図る。また埼玉県八潮市の道路陥没事故を受けて、市道の主要路線の地下空洞を調査(1144万円)する。高田地区の雁木通りで大規模火災が相次いだことから、住宅リフォーム促進事業に新たに家屋連たん防火対策枠(1000万円)を設ける。
中川市長「病院維持と災害対策は与えられた責任」
今年を「任期の総仕上げ」と位置付ける中川市長は「就任当初からコロナや災害との戦いで、病院の維持と災害を乗り越えるのは私に与えられた責任。そういう意味で、今年二つの事業に力を入れて取り組んだ」と説明した。
2期目「考えるに至っていない」
今年11月には任期満了を迎える中川市長。2期目について問われると「今、大雪災害対策本部が立ち上がっており、市民の安全安心のためにやらなければいけないことがあり、そういうことを考えるには至っていない」と述べた。
高校生のトキ鉄通学定期代を補助
子育て支援では、10月からのえちごトキめき鉄道の運賃値上げに対し、高校生の通学定期の購入費の一部を補助 (1320万円)する。通学定期代が月1万円を超える場合は年間1万円、月2万円を超える場合は年間2万円を補助する。低所得世帯を対象にした高校の制服のリユース事業の試行(100万円)、県が創設する交付金を活用し放課後児童クラブの利用料を月額500円軽減する(1277万円)。
通年観光は観光拠点施設の整備効果検証など
看板公約の通年観光計画関連(2668万円)は、春日山観光拠点施設の費用対効果の検証や高田城枡形門の再現可能性の調査などを行う。上越妙高駅と佐渡汽船ターミナルを結ぶシャトルバスのキャッシュレス化と多言語化(58万円)を支援する。ふるさと納税は寄付額10億円を目標とし、農林水産物などの返礼品の充実やPRを強化(14億7196万円)する。
新年度予算案は2月28日に開会する市議会3月定例会に提案される。
記事参照元:上越タウンジャーナル