妙高市平丸地域の「スゲ細工」に親しんで 上越妙高駅フルサットアップスで「平丸スゲ細工保存会のあゆみ」展
新潟県妙高市平丸地域に伝わる民芸品のスゲ細工に親しんでもらおうと、上越妙高駅西口のフルサットアップス(上越市大和5)で「平丸スゲ細工保存会のあゆみ」展(スゲ細工のこし隊主催)が開かれている。スゲ細工で作ったえとなどの作品、保存会の歩み紹介のほか、土日限定で制作の実演も行われている。2025年3月9日まで。入場無料。
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スゲ細工は山あいにある雪深い集落の妙高市平丸地域では、1958年から、冬期間の収入源として盛んに行われていた。最盛期は約230世帯あった集落で200人ほどが携わっていたが、時代の流れとともにスゲ細工の需要が年々減少した。
今回展示会を主催したスゲ細工のこし隊の柴野美佐代さんらが伝統を守ろうと、地域の名人から手ほどきを受け、2015年3月にはNPO法人「平丸スゲ細工保存会」を設立。これまで、スゲの栽培、えとの置物人形の制作・販売をはじめ、上越市板倉区には「スゲ細工資料館」をオープンさせるなど伝統の灯をともし続けてきた。だが、制作を実質2人で担うなど人手不足や家庭事情などが重なり、会の運営が困難となったことから、昨年10月に同NPOを解散した。現在は「伝承の形を探っていきたい」と、民間ボランティア団体「スゲ細工のこし隊」の名称で制作活動を続け、技術の普及などに取り組んでいる。
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展示会はNPO解散後、初めての開催となった。会場にはこれまで制作してきた十二支作品をはじめ、高田瞽女(ごぜ)、上杉謙信など、今昔のスゲ作品が一堂に並ぶ。昭和時代の平丸での制作風景や作品を撮影した写真アルバムを自由に見ることができるほか、これまでの活動の歩みなどを掲示。県上越地域振興局が地域づくりサポートチームとして団体の活動に協力しており、「スゲ細工ができるまで」のパネルを制作、展示した。
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展示初日となった3月1日は朝から大勢の人たちが訪れ、思い思いに作品を鑑賞したり、実演するスタッフに質問したりしていた。上越市大和2に住む70代の2人の女性は「ヘビの作品はリアルでしたね。手作りだから作品は温かみがある。(会場が)近所なので、また来ます」と話していた。
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柴野さんによると今夏の「第100回謙信公祭」に合わせ、数量限定で上杉謙信を模した作品の制作・販売を計画している。「若い世代にも関心を持ってほしい。(作品を)ぜひ見ていただけたら」と語った。
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今回、作品は展示のみで販売は行っていない。作品のオーダーは要相談。問い合わせは柴野さん090‐3548‐7370。
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記事参照元:上越タウンジャーナル