〈動画あり〉高校サッカー県ベスト4 上越 強豪相手に持ち味 上越地域サッカー界に新たな歴史
第100回全国高校サッカー選手権県大会準決勝が3日、新発田市五十公野公園陸上競技場で行われた。選手権県予選では上越勢として1980(昭55)年の直江津以来、41年ぶりのベスト4に勝ち進んだ上越は強豪・北越と対戦。1点を追う後半残り10分を切り同点に追い付く粘りを見せたが、最後はPK戦の末に涙をのんだ。7日の決勝は北越―帝京長岡の対戦となった。
前後半80分、延長戦20分の激闘は決着がつかず、PK戦にもつれ込んだ。後蹴りの上越は1本目を止められたものの、その後の3本を決めた。だが、相手はきっちりと5本連続で決めてきた。歓喜に沸く北越イレブンを上越の選手は悔しそうに見詰めた。
相手は選手権5度出場の実績があり、昨年は上越が3回戦で0―3で敗れている。2戦連続で格上の相手だが、終始攻め込まれながらもチャンスを物にした準々決勝の開志学園JSC戦に続き、この日の「勝つシナリオ」は「2トップを残してカウンター狙い」。前に出るのと引くのを「ミックスして相手に的を絞らせないようにした」(藤川祐司監督)。ディフェンシブでありながらも好機を演出し、堂々と渡り合った。
前半を0―0で折り返すと、後半は相手が攻勢に。後半15分、右CKから今大会5戦目にして初めてゴールを割られた。だが、下を向くことなく反撃し、後半33分、左CKからチャンスを生かす。MF望月洸聖(1年)が蹴ったボールを、ニアサイドでMF杉本大空(3年)がヘッドでそらし、相手GKがはじいたところを、MF家塚成輝(3年)がゴール右へ流し込んだ。
強敵相手にCKでニアのこぼれ球を拾うのは「ずっと練習で狙ってきた形」。ゴールを決めた家塚は「成功して良かった」と振り返った。その後も押し込む時間があり、「やっていて楽しかった」と主将の宮本昂成(3年)。最後はPK戦の末敗れたが、3年生の表情には充実感がにじんでいた。
創部6年で今はトップL
平成28年3月、Jリーグの水戸、大分、松本などでプレー経験のある藤川監督が来た時、同好会から部になったばかり、わずか部員5人だった。熱い指導と地元のクラブチームとも連携し、徐々に態勢を整えた。人工芝のフルピッチや寮ができ、県外からも選手が入部。指導陣も充実し4部からスタートした県リーグは3部、2部と上がり、今年は1部で5位と健闘した。部員は90人に増えた。
この日はベンチ入り20人中、16人が上越春日FCやOFCなど地元上越出身の選手だった。県3部リーグの時に同校を選んだ宮本主将は「地元で最高の環境、最高の指導者で戦っていける場所があった。その頃は大舞台に立てるとは思っていなかったが、みんなで成長できた。胸を張って上越に帰りたい」と爽やかに話した。そして「まだ上がある。自分たちは歴史を動かしたが、ここまでしかやれなかった。このチームは絶対に強くなる。後輩が新たな歴史をつくる番」とさらなる上を託した。
群馬県から入部し、この試合DFラインで体を張って守った斉藤聖(2年)は「もっと頑張って、準決勝の舞台を超えられるようにしていきたい」と決意を表した。新潟や長岡に比べ、遅れていた高校年代でも結果を残した。藤川監督は「指導者の励み、子どもたちの目指すところになれば。上越地域のサッカー界が活性化するように」と再び熱い思いをたぎらせていた。
▼試合後の宮本主将のコメント▼
記事参照元:タイムスLite