よしかわ杜氏の郷売却 7月から引受先公募 地元企業は評価で優遇 上越市
上越市は約1億5000万円を出資する第三セクター、よしかわ杜氏の郷(吉川区)を民間に売却する方針を固め、引受先の選定スケジュールや公募条件を、22日開かれた市議会文教委経済常任委員会の所管事務調査で報告した。市は「杜氏の郷」について、昨年12月の同調査で売却の方針を示していた。
引受先の公募は7月中旬から3カ月程度行い、10月下旬に優先交渉先を決定する予定。契約締結は12月を見込む。譲渡価格は発行済み全株式(3683株)に市が行った株式評価(8167円)を乗じた約3000万円が目安となる。
市は公募に当たり、同区の日本酒醸造文化を守り、地域振興に資するという従来の方針を継承し、従業員の雇用を継続することを条件に盛り込む。さらに同区や上越市内に所在する企業を選定の際に優位とする評価基準を設ける方針。
「杜氏の郷」は日本酒市場の規模縮小により売上が減少し、2015年度から21年度まで7期連続で純損失を計上。市は民間による利活用での事業再生を見込み、売却の方針を固めた。
質疑では、上野公悦氏(共産)が「地元の酒文化を熟知している吉川区の事業者に委ねるべき。国内の大きな資本が参入すれば、酒文化の継承が遠のく」と懸念を表明。
五十嵐裕産業政策課長は「市内企業に売却するとしても、厳しい現在の経済状況から回復し、経営継続ができなければ、期初の目的を達成できない」として、評価基準により地元企業を優遇するものの、対象は国内企業とする方針をあらためて説明した。
記事参照元:タイムスLite