上越市の老舗みそ店「山本味噌醸造場」が京都のフードテック企業に事業承継

みその製造販売を行う新潟県上越市中央1の老舗みそ店「山本味噌醸造場」は2023年3月、京都のフードテクノロジー関連企業の「PEAKS(ピークス)」(京都市、金崎努社長)に事業承継した。社名は変わらず、「雪ん子みそ」などの商品も引き続き製造販売する。

山本味噌醸造場(上越市中央1)

山本味噌は1916年(大正5)創業で、今では直江津地区に唯一残るみそ店。代表を務めていた山本幹雄さん(50)は、父親の急逝で23歳で4代目となり、以後、母親や親類を中心とした家族経営で伝統のみそ作りを行ってきた。後継者がいない上、亡父の例もあり、「自分が元気なうちに『山本味噌』のみそ作りが続く形にしたい」と会社の譲渡を決断。新潟県事業承継・引継ぎ支援センターやM&A仲介サイト「バトンズ」を通じて、ピークスへの譲渡に至った。山本味噌の名前と雪ん子みそのブランド継続を条件に譲渡先を選定した。

山本味噌の「雪ん子みそ」

ピークスは2021年に創業した、新たなビジネスモデルを目指すスタートアップ企業。金崎社長は京都大大学院で分子生物学や免疫学を学び、卒業後は大手ベンチャーキャピタル(起業投資会社)を経て、再生医療関連の創薬バイオベンチャーの立ち上げに参加し、上場を果たした。多忙による食生活の乱れから体に不調を感じたこともあり、「健康と科学、食品をテーマにフードテクノロジーを手がけたい」と起業し、ピークスを設立した。聴講生として大学に通い、専門学校で調理師の資格を取る中で、みそやしょうゆに代表される「発酵食品」に興味が湧いたという。

「発酵食品は基本的には食材と微生物と発酵条件の三つが組み合わさっているので、もっといろんな発酵食品ができるのではないか。将来大量生産してお客に届けるためには、発酵食品を作る既存の会社と一緒にやるのがいい。その一つの手法がM&Aだった」と金崎社長。

金崎社長(右)と山本営業・製造部長

最後は互いの誠意と人間性で合意し、山本さんは製造・営業部長として、今後も同社のみそ作りに携わる。

山本さんは「今まで私がやりたくてもできなかったこともあった。新しい体制でアイデアを持った社長の下、みそや付随する商品に限らず、びっくりするような新しい発酵食品に期待したい。私がバックアップする形でやっていければ」と話した。

金崎社長は「発酵食品はその土地の気候や風土が作り、地域に根ざしたもので、地域に残るみそ屋を守ることに力を貸すことができるのなら、ありがたい。ただ伝統だけでは生き残れないので、最先端のものと合わせ、今の社会に受け入れられる上越の特色を持った発酵食品を生み出せたら」と意気込みを語った。


yukinkomiso.jp

記事参照元:上越タウンジャーナル

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

18 − 3 =