新潟大高田分校音楽科の記憶よみがえる 卒業生有志が上越市で演奏会

現在の高田城址公園内にあった新潟大学教育学部高田分校音楽科の卒業生による演奏会が2025年3月23日、新潟県上越市本町3の高田まちかど交流館で開かれた。デジタル化された定期演奏会などの録音の鑑賞会もあり、来場した卒業生ら約80人は音楽に打ち込んだキャンパスでの日々に思いをはせた。

声楽二重唱を披露する卒業生

同分校芸能学科は、1949年の同大開学と同時に美術、書道、工芸、音楽、体育の5科が設置された。音楽科は数多くの音楽家や音楽教員を輩出したが、他科と同様に1982年に本校に統合され32年の歴史に幕を閉じた。

音楽科では教授陣や学生による演奏会も数多く開催され、市民にも親しまれていた。演奏会の録音音源や音楽科の資料は新潟大に保存されていたが、移転統合から40年以上が経過し、将来の散逸や破棄も懸念されることから、2022年に卒業生有志が「新潟大学高田分校音楽科の記憶を保存する会」を結成。卒業生から寄付を募り、1年がかりでオープンリールテープからのデジタル化を行った。またオープンリールテープや資料は上越音楽教育研究会が引き継ぎ、上越教育大学付属中学校で保管される運びとなった。

バイオリン独奏を披露する卒業生

演奏会は保存作業が終了し、保存する会が活動を休会することから、成果報告として企画された。

卒業生7組がピアノやバイオリン、フルート独奏、声楽などを披露。鑑賞会では1969年の小山郁之進、佐藤峰雄両教授によるピアノ連弾や、1980年に上越文化会館で開催された高田分校閉校記念公演のオペラ「魔笛」などの録音を聴いた。会場には在りし日のキャンパスや演奏会の写真なども展示され、休憩時間には卒業生が懐かしそうに見入っていた。

演奏会や校舎の写真、資料なども展示された

東京都の松原由美子さん(74、1973年卒)は「恩師の佐藤先生の演奏や2年生の時に出演したメサイア演奏会の録音を聞き、当時の様子がよみがえった」と感激していた。保存する会代表の伊野義博新潟大学名誉教授(69、1978年卒)は「木造校舎の講堂では多くの演奏会が開かれて市民も訪れ、地域の音楽文化の中心地だった」と振り返っていた。

記事参照元:上越タウンジャーナル