もうゲットした?上越と妙高が舞台の演劇クエスト配布中!選択肢でたどる物語と街歩きの面白さ!

雁木が並ぶ地域に住むライターのかどまるです。気温が下がり、街歩きする人も良く見かけるようになってきましたね。
街歩きをするときは大体「今日は〇〇へ行ってみよう」等の目的があるものですが、今回ご紹介するのはストーリーの選択肢で行先が変わる演劇クエストというもの。
えちごトキめき鉄道さんの駅構内などでパンフレット等のコーナーに設置されているアドベンチャーブックです。
その名も「演劇クエスト はねうまのマレビト」というタイトル。

市民なら知っている場所や通ったところがある道が物語の舞台になっており、ある意味物語の展開でハラハラドキドキしながら、同時に聖地巡礼もできてしまうもの。
物語を通してみる街並みは、今までと少し違って見えてくるかもしれません。

内容は10人の主人公それぞれの短い物語で構成されており、読者は文章内の選択肢や指示された数字の章(パラグラフ)を読み現実世界と物語をリンクさせストーリーを進めていく、この辺りではこれまで無かった新しいアートプロジェクトです。

実はこれ、お隣の妙高市の文化ホールの開館40周年を記念して作られたものなのですが、10章あるうちの半分の舞台が上越市になっており、上越市内の駅や協力店でも手に入れることができます。

読み進んでいくと読むだけでは解決しないクエスト、例えば「△△に見える数字の下2桁のパラグラフへ進む」という、その場所に行かなければならないものもあり「よし、行ってみよう!」とクエスト片手にモデルになった場所へ行ってみたくなってきます。

本や読書、演劇が好きな方だけでなく、街歩きが好きな方にもお勧めのアートプロジェクト、今回はこの「演劇クエスト はねうまのマレビト」について注目しお伝えします。

まずは冒険の書を手に入れるところから!ゲットしたらプロローグを読んでみよう

前述したように上越市内では配布協力店の他、えちごトキめき鉄道の有人駅各舎で冊子を手に入れることができます。

演劇クエスト はねうまのマレビト

総合演出・執筆・編集 orangcosong(オランコソン)住吉山実里、藤原ちから
イラスト・デザイン・執筆 進士遥
テストプレイ・校閲・制作協力 佐竹奏
主催・発行 (公財)妙高文化振興事業団 妙高市上町9‐2 / 0255-72-9411
妙高市文化ホールの公式ホームページも併せてご覧ください
*限定3000部、冊子無くなり次第配布終了となります
*冊子に関するお問い合わせは妙高市文化振興事業団(妙高市文化ホール)へお願いします
協力 えちごトキめき鉄道株式会社
後援 妙高市教育委員会、上越市教育委員会

まずはどういったものか流れを掴むために簡単なプロローグ、主人公が「あなた」のお話から読んでみましょう。読み終わったら早速、10人の主人公のお話から好きなものを選びます。
どのお話もえちごトキめき鉄道の駅からスタートできますが、ここで冒険をする上で守って欲しい約束がありますので掲載しておきます。

冒険者の6つの約束

・1人で歩くこと
*小学生以下のお子さんは保護者同伴でお願いします。
*妙高高原駅-境-は1人ではなく、誰かと一緒にプレイする仕様になっています。
*同伴者がいる場合もひとり一冊「冒険の書」を持つことをお勧めします。
・車やバイクに注意し、安全な場所で読むこと
・雪道や凍結した路面は歩かないこと
・休憩はこまめに。寄り道も大歓迎
・地域住民の生活をリスペクトすること
・日没が近づいたらその日の冒険は終了

各章は移動時間を含め30分から50~80分、最大で120分かかるものもあります。
無理のない範囲で選んで、早速行ってみましょう。
今回は特別に許可をいただきましたので、ネタばれしない程度ですが一部の物語の最初の部分を少しご紹介します。

こんなふうに各編でおおよその時間など異なります

こんなふうに各編でおおよその時間など異なります

祖母が遺した写真が手掛かり「直江津駅ー窓ー」編

直江津編の主人公は亡くなった祖母の遺品の中にあった、洋館のようで日本家屋にも見える不思議な建物の写真をきっかけに直江津駅へやって来ます。

『なおえつ。
モエが幼い頃、おばあちゃんは晩御飯の準備をしながら、ついさっき見てきたことのような、そんな物語のかけらのようなエピソードを話してくれることがあった。その話に時々出てきたのが【なおえつ】という不思議な単語だ。』
(演劇クエスト はねうまのマレビト「直江津駅ー窓ー」より)

初めて降り立った直江津駅の周辺で、主人公のモエは見えないはずの何かと次々に出会います。
きっと会話の中で懐かしさを感じる読者もいるでしょう。
モエはどんどん、直江津の街中を進んでいきます。

途中下車した沿線の高校生が主人公「高田駅ー寄ー」編

えちごトキめき鉄道の沿線の高校に通う主人公は、いつも電車で一緒になる眼鏡をかけた少女を追って高田駅で途中下車することに。進学のことで口うるさい両親や、なんとなく話題を合わせていた学校の友達など、煩わしい日常のサイクルを変えるかのように思い切った行動を起こします。

『メガネの子は迷いなく改札を抜けて、すたすたどこかへ行ってしまった。
キヨカはおそるおそる改札を出て(よかった、定期券が使えた!)、あたりを見回す。
左のほうに待合室がある。このままメガネの子の後をつけるのも変態と間違われちゃいそうだし、とりあえずこの待合室でひと呼吸、休んでみようっと。→二三七』
(演劇クエスト はねうまのマレビト「高田駅ー寄ー」編より)

パラグラフの選択肢がある場合もありますが、このように指示が1つだけの場合もあります。
高田駅ユーザーならご存知の待合室、ここへ主人公のキヨカも立ち寄ることになります。

奇妙なはがきがきっかけで電車を乗り継ぎ山城へ「春日山駅ー城ー」編

前の勤め先からやんわりとクビを言い渡された主人公の元に届いた、謎の任命ハガキ。調べてみると大河ドラマに出て来そうな地名の駅が最寄り駅であることを知り、電車を乗り継ぎ春日山駅に降り立ちます。しかし、

『ほら、やっぱ来たらなんとかなるねん、動いてなんぼやな、どうよこの行動力!とケイは自賛し、画面がバキバキになっている愛用のスマホを取り出す。
あれ…?電源落ちてるやん、さっきまで60%くらい残ってたはずやのに。』
(演劇クエスト はねうまのマレビト「春日山駅ー城ー」編より)

春日山駅編の主人公のケイの章では駅に到着後、出口を出て左にある公衆電話が次のパラグラフへ進むヒントになっています。クエストに書いてある通り駅出口に行くと公衆電話が。
公衆電話の謎を解いた後、駅目前にある建物(謙信交流館)で物語は更に分岐します。

ここから先はどうぞ、冊子を手にして楽しんでみてくださいね!

クエストを持って街に出る仕掛け!ご担当者に「はねうまのマレビト」誕生きっかけについて聞いてみた

かどまるが驚いたのは、ストーリーのチェックポイント同士が繋がっているだけではなくて、その場所に至るまでの道の雰囲気なども描写されていること。
例えば春日山編のケイはある選択肢のパラグラフを進んでいくと、上越医師会館の並木を右手にした道路を歩くことになり、更にその道路沿いにあるお店について作品内で触れています。

この付近は夏にイベント会場として使用されることもありますが、基本的には住宅街の生活道路なのでシーズン以外は観光客が歩くような道路ではありません。
作品内ではこういった、地元住民ならではの生活道路やその沿線にあるお店、建物についても触れており「この道を通って行ったのかな?」と、主人公に感情移入していく仕掛けがあちこちにあります。

このように面白い構成でできている演劇クエストですが、何故これをここ上越と妙高でやってみよう、ということになったのでしょう。
妙高市文化事業団のご担当者の大野さんに伺ってみました。

かどまる
「お忙しい中ご対応ありがとうございます!この地域を舞台にした演劇クエスト、どういったいきさつで実現したのでしょうか?」

ご担当者:大野さん(以下 大野さん)
「きっかけは2015年、私自身が横浜を舞台にした演劇クエストを知り、実際にやってみたことから始まりました。演劇クエストを制作されているorangcosongさんは世界中でこういったクエストを作られており、いつかこの地域でもやってみたいと思うようになりました。
2018年からは自主事業の現代演劇講座やワークショップの講師として直接繋がりを持つことになり、妙高市文化ホールの40周年企画として進めることになりました。その後、昨年の試作版を作成し、今回の発行へとなりました」

調べてみるとorangcosongさんたちは国内だけではなくアジア、ヨーロッパ、アフリカでもこういったクエストを創作されていたそう。今回のはねうまのマレビトもそうですが、街に出て歩きたくなる文章の仕組みはとても面白く構成されており、主人公を通して見る街の風景はいつもと違って見えてくるようでご担当の大野さんが興味をもったのもわかる気がします。
きっとリサーチもテストパターンも相当大変だったはず!

たまたま夕方に取材したかどまる。沢山の学生が行き交い、高田駅編の主人公もこうして改札を抜けたのかなと想像しました。

たまたま夕方に取材したかどまる。沢山の学生が行き交い、高田駅編の主人公もこうして改札を抜けたのかなと想像しました。

大野さん
「はい、昨年テストパターンを作成した後も実際にこの地域へ足を運んでいただき、リサーチを重ねました」

ところどころに描かれている街の風景も市民なら良く知っている何気ないものもあり、この作り込みの深さは実際に現地を見て雰囲気に触れてみないと表現することはできません。

大野さん
「演劇クエストの面白さの1つは、同じテキストを読み、物語を進めながらも、現実の町を舞台に、冒険者ごとに立ち上がってくる思いや、見えてくる風景などの劇的な瞬間がそれぞれ異なる点だと思います。
これを機に実際に冊子を片手に街を歩く人が増えることを願っています」

お忙しいところ、ご対応いただきありがとうございました。
実際にいろんな主人公のお話を歩いてみましたが、それぞれの選択肢で展開される物語や主人公たちが出会う人々の様子など、現実とファンタジーの交差点にいるようで大変面白かったです。

よし、今度は真逆の選択肢で行ってみよう!

3000部限定の演劇クエスト、気になった方はお早目に!

いかがでしたでしょうか?今回はお隣、妙高市の文化ホール開館40周年記念事業「演劇クエスト はねうまのマレビト」についてお伝えしました。
今回ご紹介したのは上越市内が舞台のものの一部ですが、市内の他の駅や妙高市にある駅が舞台のお話もあるので、どうぞ気になった駅からスタートしてみてくださいね。

そしてこの冊子は3000部限定で無くなり次第配布終了ということですので、お早目の入手をお勧めします。
これから更に街歩きがしやすいシーズンになりますので、どうぞ冊子を片手に街を歩いてみてください。

演劇クエスト はねうまのマレビト
*冊子についての詳細は妙高市文化ホールのホームページでもご覧いただけます。
主催・発行(公財)妙高文化振興事業団
協力 えちごトキめき鉄道株式会社
後援 妙高市教育委員会、上越市教育委員会
お問合せ 妙高市文化ホール 0255-72-9411

記事参照元:Yahooニュース

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